自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第346回
フードライター特集番組 その3
新人ライターからわかること

どの世界でも「駆け出し」は辛いものですが、
この番組に出ていた新人ライターさんを見て、
今後この道で食べていけるのか心配になりました。

フードジャーナリストに憧れて
1年前にそれまでの職を辞して北海道から上京。
新人は取材経費が出ないということで、
(友里にも出ていませんが)
ネタが採用されなければすべて持ち出しのようです。

編集者に採用してもらいたいがため、
珍しいネタを捜し街をさまよう新人ライター。
結局たどり着いたのは、「オープン前のスープカレー屋」でした。
店から料理の説明を聞く姿は、
既に先輩フード・レストランジャーナリストの如く、
店スポークスマンになりきっているかのよう。
つまり、新人、中堅、ベテランと
経験の多少にかかわらず店の説明を聞くだけですから、
たいした能力は要らないようです。

しかし、ある程度の文章力は必要なようです。
500字原稿にオッケーがでるまで34回も書き直したそうですが、
そんなに訂正していたら、
最初の文の形態はなくなっているでしょうね。
編集者もそんなにクレームをつけるなら、
自分で書け、と私はいいたい。

要は、たいした料理でもないのに、
いかにも「おいしい」と伝えようとする無理があるから、
うまく文章がまとまらないのです。
オープン前の店を取材対象にしてしまうこの新人は、
この業界の大御所である
犬養裕美子氏の「ナリサワ」を取り上げたのとまったく同じ手法。
そのふてぶてしさから、
犬養氏のように将来大物になる可能性があるかもしれません。


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2004年6月25日(金)

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