| 第328回フードライター特集番組 1
 シェフが店を代弁してくれている、と発言している
 5月のはじめだったでしょうか、あるTV局でフードライターの仕事を題材にした
 クイズ番組のようなものが放送されていました。
 バラエティー番組ですから、
 多少脚色しているのかもしれませんが、
 その録画を家で何回も見ていると、
 私はむなしい気分になりました。
 新人、中堅、ベテランのフードライターの仕事振りを紹介しているのですが、
 恥じらいもなく料理人との友好関係を自慢している様子は、
 この業界の胡散臭さを示すというより、
 業界自体の品格を含めた
 レベルの低さを自ら開示したようなものでした。
 私友里は1年余り、
 このようなレベルを相手に、端から見ると口角泡を飛ばす勢いで、
 一人いきまいていたと言うことです。
 自分自身のレベルも低いと言うことかもしれませんが、すすめてきた以上なかなか引き下がるわけにはいきません。
 皆様からも、この番組を見られて、
 業界ぐるみの「なあなあ」、「癒着」といった
 互助会的な関係を感じ取ったといった
 メールをいただいておりますが、
 いくつか気づいた点を数回にわけて述べてみたいと思います。
 このコラムにも時々登場いただく、北條芽以さん。中堅ライターとして、
 仕事が次から次へと舞い込むと紹介されていましたが、
 「東京最高のレストラン」に最初登場された時は、
 大食B級専門ライターとの紹介で、コメントは
 素人とたいして変わらない発言が多かったと記憶しています。
 ベットラの落合シェフは、彼女をTVでこう褒め称えておりました。
 親しそうに
 「書く文章にセンスを感じる。
 言った以上に噛み砕いて説明してくれる」と。
 シェフ自らスポークスマンとして有能なのでありがたい、
 重宝していると言っているのです。
 ヒロこと山田シェフも、
 「おいしい物を食べているからギャフンと言わせたい」
 と発言しておりました。
 ということはやはり「特別料理」。
 彼女らだけではなく、一般客の方を
 ギャフンといわせる料理を提供したいという言葉を期待するのは、
 舞い上がってしまった彼らにはもう無理なのでしょうか。
 フードライターだかフードジャーナリストの資質は、材料、シェフの思い、調理法を
 的確に表現することだとも紹介されていましたから、
 料理人、料理店のまったくの御用ライターであることを、
 TV出演で自ら証明しているようなものです。
 我々一般客を主体とする視聴者がレベルアップというか、このような馴れ合いを厳しく指摘することをしていかなければ、
 これからも彼ら料理人とライターの出来レースに、
 我々一般客、一般読者、一般視聴者は
 踊らされ続けることになるでしょう。
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