自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第306回
ワインの諸々 その21
飲ませたくない客への断り方

よくワインはなくなりこそすれども、
増えることはないと言います。
素晴らしいヴィンテージの、素晴らしいとされるワインは、
世界で飲まれるたびにどんどん減っていくので、
ワインは投資に最適という経済ジャーナリストもいるようです。

ワインが投資に向いているかは別にして、
私もコレクターといわれる人達の末席を汚すものですが、
所有の希少ワイン、好きなワイン、高価なワインは
なかなか抜栓する勇気が出ません。
特にもう1本、数本しか持っていない、
二度と手に入れられないワインなどは
他人に譲りたくないのが心情です。(破格な金額なら別ですが)
個人でもそうですから、
ましてや、ワインショップや料理店では、
なお更ではないでしょうか。

一見客や底が浅いワインファンにしか見えない
チャラチャラしている芸能・業界人、
暗いオタクなどへの対策として
店側はある決まった対応をしてきます。

ワインショップでは、気難しい店主がお約束ですから、
店先やセラーで見つけたワインでも、
「これは売り物ではない」との一括で
客は諦めることでしょう。

しかし、料理店では見得や客寄せ用として
レアなワインをリストアップしている場合があります。
これを一見客、好きになれない客、チャラチャラしている客が
目ざとくオーダーしてきた場合、
以前は次のような返答をしていました。

「サイクル的に今の時期は閉じてしまっている」、
「古酒なのでリスキーだ」。
つまり開けてもおいしくないよ、ということなのですが、
それではリストになんか載せるな、と言いたい。
ワインはボトル差といってボトルにより状態が違う場合があり
(ロットや保管が同じでも)、
他のボトルは確かに閉じていたかもしれないが、
このボトルが閉じているかいないかは神のみぞ知るところです。
また古酒だから客側がリスキーなのではなく、
飲まれることにより店側がリスキーなのかもしれません。

最近はそれでも強行してくる客が多いのでしょうか、
あっさり「在庫切れで、リストからはずし忘れた」と
直球を投げてくる店が多いと聞いています。
セラーに乗り込んで在庫を確認するわけにはいきませんから、
客は目当てのワインを見つけたら、
常連客になるか、店側に媚でもなんでも売り続けなければ、
ありつけないのが現状のようです。


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2004年5月16日(日)

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