第296回
宅配ピザにとって大脅威
ピッツァ サルヴァトーレ クオモ
昨年だったでしょうか、
9月にナポリで開催された「ピッツァ フェスティヴァル」で
外国人初のチャンピオンに輝いた日本人のニュースを
テレビで見られた記憶のある方がいらっしゃると思います。
未だ20台半ば前か、イタリアに渡ってわずか数年の修業で、
そのフェスティヴァルの権威がどれほどのものかは知りませんが、
それでもチャンプに輝いたという事実。
その青年の天賦の才能を認めるかたわら、
ピッツァを極める技術の奥行きの浅さにも感心したものです。
その後、青年の動向を耳にしなかったのですが、
最新版の「東京カレンダー」という雑誌で、
彼の近況がわかりました。
なんと白金の地に、
本格的なナポリピッツァの宅配を始める店のアドヴァイザーとして、
凱旋帰国していたのです。
しかもイートインを兼ねたデリバリー店のオープンは4/23。
年中無休、メニューはマルゲリータをはじめ
今までの「宅配ピザ」の「もどきピザ」とはまったく違う
本場ものらしきもの。
ミーハーな私は早速、知人宅に押し寄せて宅配を頼みました。
モッツァレラは水牛100%とのこと、
「ピッツァ」と「ピザ」の違いは素材のテイストと
宅配メニューには明記されています。
つまり、「ラトリエ ドゥ ジョエル ロブション」の
姉妹店である「ピザーラ」や、「ドミノピザ」とは素材が違う、
「ピザ」ではなく「ピッツァ」だと言い切っているのです。
そして価格は、イートインより
宅配の配送代のためか価格を上げていますが、
2300円から最高のペスカトーレでも2800円。
「宅配ピザ」と数百円しか違いません。
その他、サラダ、生ハム、リゾット、カネロニに加えて
デザートも6種とかなり充実しています。
宅配時間は30分から1時間と、
店内や注文の混み具合で変わるようですが、
肝心のお味は、
多少冷めているところは「宅配ピザ」とかわりませんが、
マヨネーズなどを使った「モドキ」とはまったく違った
本場ものに近いものでした。
「クオモ」と「サルヴァトーレ」という単語を使用した店名から、
容易に「ワイズテーブル コーポレーション」という
多店舗展開している会社が親元と推測できるのですが、
そのHPを見て驚きました。
デリバリー専門店は20百万、
イートインを兼ねた店は40百万円の設備投資で、
今後この分野へ事業展開していくようなのです。
今期中に、8〜10店舗をオープンする計画との事。
トラットリアやピッツェリアで
千数百円の「ピッツァ」を食べてしまった人たちは、
今までの「宅配もどきピザ」に対して、
その値付けと味に疑問を持ち始めていると推測します。
そのような環境の中、都心を中心に
本物に近い「宅配ピッツァ」がどんどんオープンしてきたら、
どうでしょうか。
本物志向の世の中です。
既存の「宅配ピザ」屋にとって
大変な脅威になると考えるのは友里だけではないはずです。
敢えて友里がこの宅配ピッツァに望むなら、
スープ系、たとえばミネストローネなどを
加えていただきたいと考えます。
「宅配ピザ」関係者は、ロブションを利用して、
悠長に「もどきフレンチ」店や「もどき サロン ドゥ テ」店を
展開している場合ではないと考えます。
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