第281回
サンス エ サヴール 2
料理は実験的な創作系との先入観がありましたが、
結構オーソドックスと感じました。
アミューズや前菜に
小さなガラスコップに入った1口料理やエスプーマがあり、
同じヒラマツグループの
「ラ リゼルヴ」を思い出して心配しましたが、
魚、肉へとつづくメイン料理に奇を衒ったものはありません。
ウリのひとつなのでしょうか、
「雲丹食べつくし」と称する
3種もしくは5種の調理法を変えた前菜が目にとまります。
皿の盛り付けなどプレゼンテーションが、
味そのものを上回るものでしたが
駄目だしするほどではありません。一度はお勧めでしょうか。
魚、肉料理の小鳩とどれも
素晴らしく印象に残る料理だったとはいえませんが、
1万6千円コース、丸ビル内の店としては
地代や客層などの制約を考えると、
精一杯やっている店と考えます。
しかし、ワインはいただけません。
シャンパーニュ類があまりに高すぎます。
ノンヴィンが1万2千円以上、
クリュッグのノンヴィンにいたっては3万円です。
定価で買っても小売で1万5千円のもの。
私のような一般人でも
7〜8千円でインポーターから購入していますから、
4倍以上の値付けです。
クリスタルなどプレステージシャンパーニュも高いですね。
ワインをちょっと知っている人ならば、
この店でシャンパーニュをボトルで頼むことはないでしょう。
ブルゴーニュのワインなども
2万円前後が主体と価格は高いのですが、
シャンパーニュほど掛けてはいません。小売の2倍程度でしょうか。
中には80年代のカリスマ造り手の白ワインなど
値ごろ感をもつものもありました。
しかしこの店ではボルドー、ブルゴーニュといった
高級地方のワインを頼むのではなく、
5〜9千円に集中しているラングドックなど
南仏の廉価のワインをたのむにかぎります。
料理の価格の1/2くらいですから、
一般のグランメゾンとは逆の割合になりますが、
ワイン代を抑えることによって、
総額としてのCP感を高める努力をすることが出来るのが
この店の救いと考えます。
よって南仏のワインを飲めば、
1万6千円コースでフロマージュを追加しても、
一人3万円と予想に反した予算で終わることが出来ました。
<結論>
値付けは安くないが、絶対額が安いワインを揃えているので、
高額な料理代の割に総額は予想より低く抑えられる。
客層などの問題を指摘されるが、
満席になっていないので、隣客はそんなに気にならない。
有名店でも、コース料理がうまくないのが定説ですが、
この店は許容範囲です。
グランメゾンの雰囲気を味わい、
アラカルトのオーダーが苦手な方、
フレンチ初心者、幼児連れには向いていると考えます。
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