第279回
ある週刊誌への取材回答 その12
責任をどうとるのか
・著書で取り上げている店の中には、
個人経営で、いまだに借金を抱えながら
営業している店もございます。
友里様の批判によって、評判が悪くなり、
実際に客足が落ちている店もあるようですが、
そのあたりの責任はどうお考えでしょうか。
<回答>
事業を営む場合、当初は借金するのは当たり前です。
最初から借金なしで店を出せるような人は
珍しいのではないでしょうか。
批判と言われますが、私は事実に基づいた事、
そして便宜供与を受けない一般客の立場で
感じたことをそのまま書いたつもりです。
私が取り上げた店、特に問題点などを指摘した店は、
自称料理評論家、フード・レストランジャーナリストが褒め称えて
読者を煽っていたので重点的に取材したものです。
料理や諸々のサービスで自称料理評論家、
フード・レストランジャーナリストに便宜を与えるかわりに、
店を過大評価してもらいおおいに宣伝してもらうような
裏取引をしていることには目を瞑れというのでしょうか。
実際と違って店にとって都合よく
料理の味、食材、サービスを書く事は当然のことで、
店に対するネガティヴな意見は許さないと言うのは、
あまりに勝手というものです。
マスコミにでるということは、両刃の剣だとの覚悟が必要です。
褒められるだけではなく、批判されるのも覚悟しなければ
マスコミの取材で、良い事ばかりいう資格は
店、料理人にないと考えます。
しかも、本当に拙著の影響で評判が悪くなったのでしょうか。
客を大事にしていない、
営利を追求しすぎてオーバーブッキングをする、
コースの種類を減らしていつのまにか高いものだけにする、
というようなことをやっていたら、
口コミで評判はどんどん落ちるはずです。
しかも、今は客層自体が不景気ですし、
夏場は特に飲食店はどこでも厳しいはずです。
フードジャーナリストやマスコミ、芸能人だけを優遇しないで、
謙虚に一般客を大事にして努力される店が
最終的には口コミで広がって行くのではないでしょうか。
私への責任を云々されるなら、
自称料理評論家、フード・レストランジャーナリストの
一般読者への責任も追及されるのが公平と考えます。
実際の一般客向けとは違った
特別料理、特別待遇を受けるのを当たり前として、
その結果をそのまま雑誌などへ書き表す。
当然、下駄をはかせて煽りまくった評価を真に受けて訪問した
一般読者、一般客は肩透かしをくって、
失意のなか店を出ることになります。
その一般客たちの損失額は膨大と考えます。
この損失への責任を、
自称料理評論家、フード・レストランジャーナリストは
どう考えているのでしょうか。
今回で12回にわたった週刊誌への質疑応答が終わります。
これは昨年の夏場過ぎに実際にあった質問なのですが、
今読み返しても私はこの週刊誌の編集者の後ろに
自称料理評論家、フード・レストランジャーナリストの
影を見てしまうのです。
自分が一度それらの店を一般客として検証した結果の質問は皆無、
店側、料理人側、料理評論家、
フード・レストランジャーナリスト側に立った質問だけだったのが
私には理解できません。
週刊誌は新聞と同様、
社会の木鐸としての役割があるのではないでしょうか。
サイレントマジョリティーである一般読者の立場を
いの一番に考えてもらいたいものです。
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