自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第223回
昔の名前で出ています状態、アラジン

改装前とはまったく違った雰囲気の店になっていました。
オープンキッチンではなくなっていましたが、
露出趣味があるのか、
店外からもガラス張りの厨房が見えるようになっています。
ブレイクしてすし詰め状態が続いた狭いテーブル配置ではなく、
ホールは高級感を出してゆったりした造り。
しかし、肝心の客が稼ぎ時の12月半ばというのに数組ですから、
かえって寂しい印象を与えてしまいます。

料理は7千円と1万円のコースとアラカルトになります。
巷で評判のスペシャリテ、
例えば「フォアグラのリゾット」などは
高いコースにプリフィクスの形ですが、設定されています。
アラカルトにもスペシャリテはラインナップされており、
冷たい前菜5種、温かい前菜3種、肉5種に
この時ジビエがまた4種と選択肢はあります。
逆に客の入りの悪さで仕入れの無駄を心配してしまいましたが、
ジビエにいくつか欠品がありました。

内臓料理で名を売ったフレンチではありますが、
久々の訪問で受けた印象は、
「記憶と違って案外軽いじゃないか」。
ブレス鶏とフォアグラのガランティーヌは、
せっかく使ったフォアグラの主張をまったく感じませんでしたが、
繊細な味わいでそれはそれで良い。
どうせ目立たないなら、石川芋だけでも良いかもしれません。
同じく石川芋と野菜とキノコのサラダは、
同じような傾向の味わいで私は満足。
つまり、ドカーンとくるものではないのです。
評判のフォアグラリゾット。
確かにフォアグラ単体はうまくソテーしていますが、
リゾットというかわざわざ米の上に置く必然性を感じません。
傑出したというレベルではなく、
標準以上にはおいしいレベルのフォアグラです。
メインはいたってノーマルなクラシックスタイル。
今回は山鳩のサルミソースでしたが、
オーソドックスなもので、シェフの特徴を感じませんでしたが、
完成度は高いと考えます。
量が少ないところは、
突合せのポテトグラタンで補うことになります。

ワインの値付けは、シャンパーニュを除いて安いと感じました。

<結論>
ジビエの季節は「内臓盛り合わせ」などの
ひとつのウリである料理がない。
そのジビエを含めて各料理のレベルが
標準より高いことは認めるが、
犬養裕美子氏が評価するような、
有名他店を押しのけて
料理で10点満点を取るものではないと判断します。


←前回記事へ 2004年2月23日(月) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ