| 第197回ふぐ刺しの厚みについて
 この冬、私は「天然トラフグ」を扱っていると称している
 店による違いを試すため、いくつかの店を訪問してみました。
 実際「天然」といっても
 価格も味わいもかなりの隔たりがありました。
 天然物とすり込まれる先入観がなければ、
 ブラインドで食すれば、
 養殖だか天然だかわからないような店もあったのですが、
 それら個々の店の話は後日に譲ることにします。
 フグ屋には大きく分けて4タイプあるでしょうか。銀座などの高級和食店、高額関西割烹店が冬にフグを扱う場合。
 夏は養殖を扱うかオコゼや鮎を扱って凌ぐ、
 小さい構えのフグ専門店。
 チェーン店化している大衆店。勿論養殖物。
 そして飲み屋街の小さな安いフグ扱い店です。
 前々から感じていたのですが、店のタイプによってふぐ刺しの厚みが異なるのです。
 一般にフグの身はゴムのような食感なので、
 薄く切らなければ噛めないからだ、と聞いたことがあります。
 最近は鯛やヒラメでも薄造りなる
 私は首をひねる物がまかり通っているようですが、
 鯛やヒラメなどを薄くしてわざわざ食感をわるくし
 旨みを薄めて何が良いのか。
 フグも厚いと噛み切れないほど硬いものならいざしらず、
 高額店の天然物は厚くなっており、
 しかしちゃんと食することができます。
 しかも薄いものより旨みも感じやすい。
 しかし、チェーン店、激安店に加えて「天然物」をうたっている店でも薄く出してくる店があります。
 薄くして量を節約しただけの理由なら納得しますが、
 厚めにだして旨みを感じない、
 噛み切れないような物をごまかすためであるならば
 これは問題と考えます。
 旨いと評判の店ではなく、自分自身が旨いと感じる天然物の店は、
 そこらの店のように
 薄くは包丁を入れていないのではないでしょうか。
 機会があったら確認してみてください。
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