第196回
天然鰻の旬とはいつ?
一般に天然鰻の捕れる時期は
初夏から年末ちかくまでと言われています。
鰻屋が稼ぎ時と言われている土用の丑の日前後、
つまり7月が旬のように感じますが、
それは売れ行きが落ちていた
この時期の鰻をPRしようとした
平賀源内のキャッチコピーからだと聞いておりました。
鰻も生き物、暑い夏ではぐったりしていて食欲もなく、
身も痩せて脂ののりも悪いのでしょうか。
確か山本益博氏も秋口がもっとも良いと
雑誌か何かで言っていたと記憶しております。
今の世、「天然」という各魚につく枕詞は、
客側に絶大な影響を及ぼします。
「本鮪」が冷凍でなく近海、しかも「大間」であったりすると
最高級品として価格も上がり、有難がられますが、
時期によって「大間」が一番ではないことは
小野二郎氏も言っていますが。
「ぶり」、「ふぐ」、「鯛」も
その枕詞が着くだけで高額品として扱われてしまいます。
魚は天然がよくて、
なぜ牛や豚、馬は手塩にかけた繁殖(養殖)物が珍重されるのか、
私には不思議なのですが、
この「鰻」は実際「天然物」にありつける人が少ないのは
あまり問題にされていません。
前からとなえておりますが、「尾花」、「野田岩」など
天然鰻の代名詞と言われている店に押しかけている
大多数の客が食べているのは養殖物。
店側は、ほとんど天然物を扱っていないと
情報開示することが客への真のサービスと私は考えます。
限られた常連客がなぜか「天然物」と「養殖物」を
食べ比べているという話を先日耳にしました。
「野田岩」ですが、なぜに一々比べなければいけないのか、
フグを一々養殖と天然と
食べ比べている常連を見たことはありません。
粋ではないですね。
鰻はそれほど天然物単体で食べても、旨みというか
おいしく感じるものではないという証左かもしれませんが、
この天然物の旬が実は8月頃だ、といった情報も入ってきました。
今までの料理評論家や物の本の通説とは真っ向異なるもの。
私はわざわざ天然物も高価格で食べる意味を
それほど感じていないので、あまり関心はありませんが
真実はどうなのでしょうか。
「天然鰻はもともと旨いものではなく、
旬といえる時期を考えることは無意味」、
私はこうも考えております。
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