| 第185回ただのお座敷天麩羅だった、「春日」
 余り知られていないかもしれません、浅草の天麩羅屋「春日」。以前の「東京最高のレストラン」という「ガイドブック」に、
 「絶対ガイドブックに載っていない天麩羅屋」、と
 いかにも名店のごとく
 この評価本に紹介されていたのには笑いました。
 レストランジャーナリストの犬養裕美子氏も
 「一度行くとよいが、浅草にあり、高いから
 一般の人には勧められない」と、
 矛盾した紹介をされておりました。
 高くてもおいしければ、サービスがよければ、その価値を認めれば、一般の人でも行くはずです。
 料理やサービスなどに比べて高すぎると
 彼女が判断しているならば、それは良くない店な訳で、
 勧めてはいけない、と私は考えます。
 浅草雷門から徒歩で5分ほど、隠れ家的な一軒家が「春日」です。小さな引き戸を開け、靴を脱いで控えの間に通され、
 お茶で一息つかされるのは、「大黒屋」と同じスタイル。
 浅草の天麩羅屋の定番なのでしょうか。
 早くビールが飲みたいのに焦らされ、10分ほど経って「用意が出来た」と
 ようやく10名強のカウンターに案内されます。
 なぜに、用意が必要なのでしょうか。
 1回転の営業のはずで、
 客を店に入れておいて用意ができてないとは、
 不思議な言い回しです。
 それなら出来るまで店を開けるな、と私は言いたい。
 着席して驚いたのは「造り」と「先付け」が既にセットされていたことです。
 高額店で「造り」を既に切り置いているのはいかがなものか。
 一般人に向いていないほど高い店がやるべきことではありません。
 旅館の宴会料理ではないのですから。
 天麩羅は定番「サイマキ」の他、当然ながら生産地に拘った旬な食材が続きます。
 種類は多く、全体に小振りで、揚げスタイルも軽いものです。
 「大黒屋」のような黒いものではありません。
 しかし、かき揚げご飯を食べ終わっての私の感想は、
 「楽亭」や「はやし」を上回るものではないというだけでした。
 食材も揚げ方も悪くはありません。でも、傑出しているとも思えないのです。
 そして灘の酒を飲んで一人3万円弱のお会計に、
 覚悟していたとはいえ驚きました。
 世間相場からみて、1万円以上は割高でしょう。
 浅草と言う地域性から、過剰評価される傾向のようですが、単なるCPの悪い天麩羅屋です。
 この店は、
 「内容の割には高すぎて、一般の人にはお勧めできない。
 浅草と言う立地だけに興味があるとか、
 CPの悪さを気にしない人は一回だけ行ってみても良い」と
 紹介するべきものではないでしょうか。
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