| 第164回注目度が落ちてきた、YANAGIDATE
 昨年、同じ青山に分店を出してきてからでしょうか、めっきり雑誌や評価本への露出が減ってしまったのが
 北青山の「ランス YANAGIDATE」です。
 その名の通り、
 ランスの3つ星店「ボワイエ」で修行を積んだとされる
 柳舘氏のフレンチです。
 表参道からも近い、スーパーの紀伊国屋の裏という立地的には申し分のない場所。
 しかし、路地の突き当たりで、
 怪しげな高額中華店の裏に位置するため、フリの客は望めません。
 それどころか、
 初めての予約客も行き着けないのではと思われるほど
 店へのアプローチは最悪な条件です。
 修業地であるシャンパーニュ地方を意識しているのでしょう、独立したシャンパーニュリストには、
 20種以上の泡物が明記されています。
 値付けは普通ながら、これほどの品揃えは他店にはないでしょう。
 このようなコンセプトの中、
 シェフのどちらかというと創作意欲のある料理とあわせて、
 以前はマスコミの注目度は高かったのです。
 しかし、注目度やシェフの認知度と、
 客の入りが比例しないのを証明したのもこの店であります。
 私は満席になったところを見たことがありません。と言いますか、5割も埋まったところもあまり記憶にないのです。
 料理が悪いのではありません。
 厨房スタッフには厳しい、昔ながらの気質のシェフですが、
 店には詰めていますし手を抜いていることはないでしょう。
 問題は私が思うに値付けです。
 プリフィクスタイプなのですが、
 前菜と主菜(魚か肉)の2皿で6500円、
 前菜に魚と肉の3皿で8500円はやや高めのイメージですが、
 より割高に感じるのが追加料金の設定です。
 スペシャリテと言われているおいしそうな料理、
 すなわち半数近くの皿に1千円のプラスが設定されているのです。
 ついつい3皿のうち2皿に追加を認めると、
 料理だけで1万円を超えてしまうのです。
 料理はスペシャリテが多いせいか、
 定番が半分近くあって目新しさを感じないのも問題であります。
 前菜に
 「温泉卵とオマール、ホタテ、うに、キャビアのコンソメゼリー」
 や「江戸前アナゴとフォアグラのミルフィーユ」など、
 一度は食するに値する料理があるのですが。
 それからもう一つ。ホールの女性スタッフの評判が悪いようです。
 仲が良いのか芸能人の客に、あからさまに特別待遇し、
 一般客を差別する様を見せられると、
 通う気がしなくなる場面にも遭遇しました。
 料理は悪くはないのですから、これらの問題が解決されれば
 (これが難しい)埋没は避けられるかもしれません。
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