第123回
店、料理人からの反論に対して その1
自分たちには技術がある
週刊誌からの取材の中で、
料理人からの反論に関するものがありました。
「ラトリエ ドゥ ジョエル ロブション」に関して、
私は大量生産を目指して雇ったスタッフですから、
技術に期待してはいけないと述べましたが、編集者から
シェフは「シェフのしっかりとした指導のもと、
技術のあるものが調理しているので、
そのような意見は心外である」と言っていると聞きました。
5月に入ってからでしょうか。
2時間以上並んで初めて入店した時、
サービススタッフと色々会話をしたのですがその際、
「あと10名は厨房スタッフが必要だ」、と言われました。
10名足りないところを今の人数でまかなっているのは
さぞ、大変だったでしょう。
大量生産式にしないと、
昼夜共に2回転営業は無理ではないですか。
技術があるかないかは、
その対象となっている本人たちの意見だけではなく、
客側、第三者の意見も聞く必要があります。
技術に絶対基準があるわけではありません。
店側が自分たちのことを「技術がある」といっても、
それはナンセンスです。
昔、田原俊彦という歌手が、
「俺はビッグ」と言ってしまって
大顰蹙をかってしまったのを思い出しました。
シェフを含めてまだ若い人生経験のすくない人たちが、
自分たちを「技術がある」と言い切るセンスに
私は疑問を感じます。
実際、ハムを切っている人は、慣れていないらしく
教えてもらいながらも
非常にぎこちない捌きだったのを記憶しています。
また最近、再び訪れる機会があったのですが、
驚いた光景を目にしたのです。
タルタルステーキの盛り付けを見てしまったのですが、
既に薬味などを入れて混ぜてしまった造り置いたものを、
ボウルに入れラップを巻いて保管していました。
注文を受けたらボウルから盛り付けるだけでした。
その場で調理していません。
これは、大量に客をさばく店のやり方ではありませんか。
本来タルタルは都度注文を受けてから、
客の苦手なものを配慮しながら
人数分調理していくべきと考えます。他の店では直前調理でした。
安い店のハンバーグや餃子の中身とは違うのですから。
技術だけではなく、内装などにも問題点があるようです。
カウンターのダウンライトもちょっといただけません。
光が強すぎるのか、ゴミの空中浮遊が目立ってしまいます。
清潔感を感じません。
ガラスのショーケースの前に座ると悲劇です。
外側のガラスが結露していて、カウンターが濡れていました。
見た目も良くないですね。
仔羊も4600円とかなりの高額でしたが(中級店以上の値付け)、
塩もゆるくてその価格に見合うものではありませんでした。
技術があってこの味とはいかがなものかと感じた次第です。
本人が自慢しているだけに、確かに技術はあるのかもしれません。
仮にそうだとしても、
その技術を一部の料理評論家、フードジャーナリスト、
有名・人気料理人だけに提供しているとしたら残念です。
一般客は、特別待遇で特別料理を食べられないのです。
誰にでも公平に技術を提供してもらいたいものです。
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