| 第101回ボツになったある雑誌への取材回答 その3
 コスト・パフォーマンスをより具体的に
 ●友里様のお店の判断・評価の基準について、ご著書ではコスト・パフォーマンスについて触れておりますが、
 その点についてもう少し具体的に教えてくださいませ。
 CPはあくまで個人的な食後感です。支払った金額に見合った食材、料理法、建屋・内装、
 サービス陣への満足感が得られたか、元が取れたと考えられるか、
 といった相対的なものです。
 イメージ的には、分母に支払額、
 そして分子に料理、サービス、
 雰囲気の満足感を配置することによる相対値ですね。
 一人3万円と5千円の店で、まったく同じ料理、
 サービスを要求することは出来ません。
 グランメゾンなど3万円も4万円もかかる店への
 期待値は高いはずです。
 食材、料理法、サービス、内装などに多くを望むのは
 当たり前です。
 要は、払った金額に見合った店だったか、安い店はそれなりだったか、を言っているだけです。
 あくまで私の価値観でありますが、店の詳細な評価や描写、
 そして私の評価基準を参考にしていただいて、
 読者の方にはそれぞれ修正していただきたいと思います。
 私の第一の評価基準は「経営者・料理人の性格」です。
 「性格の悪い料理人の店は、うまい料理を造らなくなる」
 というのが私の結論です。
 うまい料理を造れないのではありません。
 あるレベルに達した料理人は、
 本気を出して、食材に糸目をつけなければ
 皆うまい料理を提供できると思います。
 必要以上に儲けに走り食材の質を落とす、
 または売値を上げるとCPは低下します。
 多店舗展開を図れば、味、サービスは落ちます。
 見栄を張って森ビルなど家賃の高い場所へ出店すると、
 食材や料理人、サービスの質を落とさざるを得ない。
 人気が出て、派手な人脈との交流と副業の忙しさから
 厨房にたたなくなる。
 マスコミに持て囃され、勘違いしてカリスマ性を出そうと
 客に傲岸不遜に接する。
 いずれも味やサービスが落ちる要因ですが、
 すべて経営者・料理人の性格、人生観、意思の強さに
 かかわってくることだと思っております。
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