第68回
ソムリエの実力・実態 その7
冷したワインがなかなか出てこない
何事もタイミングが重要です。
それはレストランでの食事でも言えることです。
食べ終わると同時にすぐ皿を下げたがるのもイヤですが、
放置されっぱなしもいけません。
そして「アッカ」のように
次の皿がなかなか出てこないのも問題です。
料理のタイミングは重要ですが、ワインに関しても同じです。
席に着くとだいたい食前酒を勧められます。
グラスシャンパーニュなどの場合は
あらかじめ抜栓して冷していますので、すぐ供給が出来ます。
でも、人数が4人以上の場合は、
リストから安いノンヴィンテージのシャンパーニュを
頼んだ方が結果安くあがる場合があります。
そのような時、最近すばやく出てこない店が多いのです。
5分やそこらで文句を言っているのではありません。
10分、15分とでてこない場合があります。
今日はなんの料理を頼もうかとメニューを見て選ぶのは、
食事の楽しみの一つです。
ある程度時間をかけて選びたいものです。
そんなとき、片手にシャンパーニュがあれば落ち着くのですが、
ボトルがでてこないと手持ち無沙汰ですね。
理由は簡単。
頼んだボトルを探して遅くなったのではなく、
冷すのに時間がかかっているからのようです。
通常、シャンパーニュを含めて
ワインはセラーに保管されています。
店のポリシーにもよりますが、15度前後だと思っていたのですが、
最近設定温度を上げている店が多いのです。
氷の入ったソー(バケツ)に入れると、何分で何度下がるか、
といった簡単な計算式があります。
それから逆算して考えるとやはり温度が高いはず。
ワインは、物によって提供温度が変わってきます。
格や古さにもよりますが、一般に赤ワインは18度前後、
白は12〜14度、シャンパーニュは10度前後でしょうか。
熟成感のあるワインはこれらの温度より高くするのですが、
多分レストランは一番売れるであろう
赤ワインに絞ってセラーの温度設定をしているのでしょう。
ワインは温度を下げるより、上げるほうに時間がかかるからです。
加熱できませんから。
かくしてシャンパーニュの場合は8度近くの
温度降下をさせなければならなくなるのです。
「カーヴ ドゥ ジュール」といって、
その日に飲まれるであろうワインをスタンバイさせておく
保管室があるならば、セラー自体の温度を下げておいて、
赤ワインだけ移し変えることができます。
でも、客がどのワインを頼むか予測ができませんし、
この設備を備えるのはスペース、費用とも負担がかかります。
やはり、大人数でも、割高承知でグラスシャンパーニュを頼め、と
いうことになるのでしょうか。
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