第67回
鰻の直前さばき、炭焼きについて
長い行列に並び、店員に仕切られて
ちゃぶ台に座らされる「尾花」を経験されましたか。
この店は注文をとってから鰻を捌き、
炭火で焼くことを売りにしています。
そのため鰻重なり蒲焼が出てくるまでに
少なくても30分は待つことになります。
その間を埋める為、う巻き、鯉のアライ、漬物などの
ツマミとお酒類で、店の売上げに貢献することになるのですが、
本当に一品一品注文をとってから捌いているのでしょうか。
確か取材拒否の店と聞いた事があります。
厨房を公開していないのでは本当のことがわかりません。
この店の客のほとんどが鰻重を頼みますし、
次々と客が入店し続けるのですから
注文とは関係なく捌いていかなければ
間に合わないのではないでしょうか。
前々から疑問に思っていた点です。
鰻には「天然物」と言うほかに、
この「直前捌き」と「炭火焼」に拘る風潮があります。
「野田岩」は、私は別にして、
ほとんどのマスコミや有名人が絶賛している人気店です。
やはり次々と客が入店し、店員ははやく鰻重を食べさせて帰し、
回転率を上げることに必死です。
ですから、鰻重などは注文してから、
そんなに時間をおかず出てきてしまいます。
つまり、注文してから捌いて3度焼いている時間がありません。
名店?といえども拘りの一つを放棄しています。
街場の鰻屋の趣ながら、知る人ぞ知る広尾の「田丸」。
名店の鰻が「ふわふわで口のなかで溶けるような」
柔らかいものが主流の中、ここは香ばしく食感を感じます。
でも、大量に事前に捌いてあるのを目撃してしまいました。
新宿の「勝三」はプリプリ感のある小さめな鰻を出す店です。
有名店と食べ比べていただきたい鰻なのですが、
ここは、直前に1匹ずつ捌いていますが、
炭火ではなく「ロースター」です。
鰻屋は色々講釈をつけて拘りをいっていますが、
直前捌きも炭火もすべて備わっている店は
少ないのかもしれません。
そんなに拘らなくとも、
そこそこおいしいと感じる食べ物なのでしょう。
出前できる食べ物(野田岩がデリバリーをしている)というのは、
どの店でもそんなに差がつきにくい、
繊細でなく鈍感な食べ物なのかもしれません。
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