この調子で進行したら、銀座はまだよいとして、丸の内などはゴーストタウンと化してしまう。もう今となっては間に合わないけれども、三菱地所が建てたオフィス街を、いまの倍に建てて、上を住居にして何十万という人に住まわせていたら、銀座も丸の内も、もう少し活気のある街になっていたのではなかろうか。人が住んでおれば、人も集まってくるし、物も集まってくる。食事をするために、上の人が下におりてくるから、下の飲食店は休日祭日でも商売になる。また、上から下におりるだけなら、行動半径が横へ横へと拡がったりしないから、交通量もそんなにパンク寸前まで行きつかないですむ。
いまの銀座を見ていると、消費者の住んでいるところに物を運ぶのではなくて、誰も住んでいないところに一ぺん物を運び込み、それを買うために人が遠くから集まってきて、物を買ったらまた家まで運んで行くという二重手間になっている。
「遊ぶ」という要素があって、ショッピングに楽しみがあれば、こうした無駄も存在理由があるが、渋谷、新宿、池袋といった途中のステーションで足止めをする繁華街ができたら、銀座や日本橋で商売をしている人たちはどうするつもりだろうかと心配になる。
将来の人の動きを考えたら、横型展開はそろそろ限界に達したなあ、という気がしてくる。
時間の節約という立場からみても、仕事も住居も縦型でないとおさまりがつかなくなってきたように思う。 |