再び職住近接のすすめ
西洋人の文章は横型なのに、家も文化も縦型につくっている。日本人は文章は縦読みにするのに、どういうわけだか、家も文化も横に拡げていく。一つには地震というものがあって、木造の家は高く建てることができず、横へ横へと、拡げていくよりほかなかったからであろうが、私はこのありさまを見て、いまに東京が大阪までつながって、日本国中、東京になってしまうのではないか、と指摘したことがあった。
最近はさすがに無限に横に拡げていくことに限界を感ずるようになったとみえて、都心部や駅前中心に高層化が進むようになったが、それでも、中央区や千代田区を見ると、高層建築の上層階もすべてオフィスにするプランが多いので、ホテル以外は都心部に住む人がいなくなってしまった。遠くに住んでいる人たちがウイークデーには、電車や自家用車で通勤してくるが、夕方になるといっせいに引き揚げてしまうから、夜は無人の町と化してしまう。週休二日制が普及するに従って、日曜日はおろか、土曜日も人が寄りつかなくなる。こうしたオフィス街でサラリーマン相手の商売をやっても稼動時間が漸減しつつあるから、高い家賃を払ってはもはや採算が合わなくなりつつある。
当分はまだよいとしても、東京の銀座や大阪の御堂筋を見ていると、日曜日にはデパートに来る客さえ目立って少なくなってきた。私はあわて者の方だから、たまに日曜日の銀座を歩いたりすると、「いまにここは浅草みたいになってしまうのではないか」と一種、恐怖に似た気持ちに襲われてしまう。銀座にまた新しいビルを建てて、そのビルにまたデパートやスーパーが出店しようとしのぎをけずっているが、そんなことはやめておいた方が賢明なのではないか。もしどうしても新しい投資をやらないと気がすまないのなら、ターミナル・デパートのあるところとか、郊外のこれから小都心になるところに移転した方がいいのではないかと思ってしまうのである。
←前ページへ 次ページへ→

目次へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ