拘束された時間をいかに使うか
しかし、ひと口に「時間売り」といっても、その内容は人によってまるで違う。私なども実質上、「時間の切り売り」をしている。講演料をもらう商売は、たとえば演壇に立って平均一時間半、お喋りをすることに対して代金を支払われる。講演料はピンからキリまであって、一番高いのが一回百万円であるが、下へ行くと一万円か、タダに近い人もある。
私など、二十年も講演を続けてきたし、全国から□がかかるから、いつの間にか高い講演料の方に属するようになった。東京都内なら大した時間はかからないが、不便な田舎の講演に行くと、行きと帰りの交通に時間をとられるし、日帰りができないところは一泊しなければならない。こうした拘束時間も入れて、講演料が支払われるのである。
また原稿を書く仕事も、一枚の原稿につきいくらという稿料が支払われるが、一定時間に書かれる原稿の量は、難渋している場合を除けばほぼ一定であるから、「これに要する時間はほぼこれだけ」ということになり、一時間あたりの代価はこれくらいだなという算出が可能である。
こうした時間の効率をできるだけあげようとすれば、講演に出かけて行く往復の乗り物の中とか、ホテルの朝だとか、拘束されてはいるが自分勝手に使っても文句をいわれない時間を上手に使うことが考えられる。現に、私が十五本もの連載が何とか消化できるのも、そうした拘束時間を活用しているからであり、もし講演がなくて新幹線にも飛行磯にも乗らず、いつも書斎かオフィスにいたとしたら、おそらく来客に割り込まれて原稿などまるで手につかないに違いない。
従って、「拘束されているからやりたいこともやれない」というのは単なる口実にすぎず、事実は「拘束された時間をどう有効に使うか」が野心を持った人とそうでない人の違いになって出てくるのである。
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