第41回
心から同情します。香港の男性たちよ!
最近日本の女性も強くなってきて、
私の娘などを見ていると、
ボーイフレンドはさぞかし忍耐力が必要だなと
同情せずにはいられません。
そうは言っても、香港女性の強いことといったら、
最近の日本人の女性もとてもかなわないでしょう。
香港は歴史的な理由からか、男女の比率で圧倒的に男が多く、
従ってガールフレンドを作るにしても奥さんをもらうにしても、
大変な競争に打ち勝たなくてはなりません。
雑踏のど真ん中で、ガールフレンドからビンタを食らって
平謝りしている男性をよく見かけます。
香港の銀行員だったとき、
最高学府を卒業した真面目で優秀な部下がいました。
ところが、彼には一つだけ欠点があって、
毎日20分必ず遅刻してくるのです。
何度注意しても一向に直らないので、
あるとき、別室で理由を問いただしたことがありました。
「君は何で毎日20分遅刻してくるんだ?
それさえなければ君は文句の付けようのない位優秀で
昇進・昇給も問題ないのに!」
「・・・・・・・・」
何度問い詰めても黙ったままだったのですが、
ついに諦めて事情をぽつりぽつり話し始めました。
「実は毎朝、彼女の家に迎えに行き、
職場まで送ってから、会社に来るので、遅刻してしまうのです」
「えっ? そんなことで遅刻してたの?
彼女に言って、20分早く会社に送っていけば、
君も遅刻しなくて済むじゃない?」
「そんなこと言ったら、一発で別れると言われるに決まってます!」
「だって君たち愛し合っていて結婚するつもりなんだろ?
それならお互いの立場を尊重するのが本当の愛じゃないの?」
「そんな理屈は通りませんよ!
私にとっては、会社も大事ですが、
彼女との関係のほうが大事なんです。
申し訳ありませんが、遅刻は大目にみてください」
当時は、そういう関係を受け入れざるを得ない香港男性は、
本当に可哀想だと思っていましたが、
日本の会社を辞め、独立して自由になった今考え直してみると、
会社の理屈より愛の理屈を優先させるのも、
一つの行き方だなと少しは理解できるようになりました。
でも、やっぱり、
優しい日本人の奥さんを持って本当に良かったと思うこの頃です。
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