第39回
ヘッドハンターに教えられた香港人の驚くべき勤務感覚
香港で銀行の駐在員として7年弱勤務した時の話です。
営業の責任者として当初は香港人の部下2名からスタートして、
最終的には香港人・中国人・台湾人・韓国人・フィリピン人の
数十名のチームにまで大きくしたのですが、
人事上一番困ったのが、平均勤務期間が1年半と非常に短く、
人を育てたと思ったらすぐにやめていく驚くべき就社意識でした。
本当に困っていたので、
あるとき、スカッシュを通じて知り合った香港人の友人が
ヘッドハンターであることを知り、
相談したことがあります。
「会社のスタッフが長く勤めてくれなくて、
本当に困っているんだけど、どうすればいいだろう?」
「マックス(日本人の名前だと覚えてくれないので、
ニックネームを使っていました)の会社は、日本の銀行だろ?
日本の銀行は勤務先としては最低だと評判だからな!」
「えっ? どういうこと?」
「だって、この前優秀な人材をS銀行に紹介したんだけど、
彼は毎日11時すぎまでこき使われて困っている。
どうしても用事があり、9時に帰らなくてはならないとき、
"家内が急病になったので、
今日は早くて申し訳ありませんが、先に帰らせていただきます"
と言って帰ったそうなんだけど、笑い話だよな!
そんなことじゃ、誰も就職したくないに決まってるよ!」
「そんなことないよ、うちの銀行では、
仕事さえしてれば何時に帰っても全然問題ないよ!」
「ところで、平均何年ぐらいで辞めちゃってるの?」
「1年半ぐらいかな?」
「えーっ? そんなの香港の平均だぜ!」
「あのさ、マックス。
香港ではこういう考え方があるんだ。
"優秀な人材が半年以内で辞めたら、失敗したと反省しろ。
1年勤めてくれたら平均だ。
2年勤めてくれたら、ありがたく思え。
3年勤めたら神に感謝しろ!"とね。」
それ以来、
平均1年半勤めてくれているので、香港の平均以上だ。
1年半経ったら辞めるものだと諦めて、
辞められても困らないように
日頃から人事政策を立てておくことが必要だと
考え方を変えることにしたのです。
ひょっとしたら、
日本の考え方が世界の非常識なのかもしれませんね。
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