第5回
常に世界中の投資機会を見ながら決断する
華僑投資家(1)
私が付き合ってきた華僑達の投資戦略は基本的には、
投資対象国の経済の景気不景気の動きを徹底的に研究した上で、
大きな相場の流れを読んだ上の
中長期投資を原則とする投資家達でした。
例外的に短期的な投資をするケースは、
「投資する対象が明らかに相場より安く買え
すぐに転売して利益を確保できる」
「なんらかの情報を入手していて
投資対象が間違いなく値上がりする」
といった場合に限られていました。
しかしながら投資の期間に関係なく、
事前の徹底的な研究・情報収集をベースにした投資、
出口戦略も投資したときから持っている投資が原則といえます。
不動産に関して言えば、先進国の不動産は、
景気循環に少し遅れて価格が動くのが投資の鉄則で、
不景気が続いている国を物色し、マクロ経済指数を常に注視し、
景気が上向きになった時点で果敢に不動産投資を始めます。
こうした時期は、
不良債権処理物件が多いにもかかわらず買い手が少なく、
優良な不動産を買手有利に取得することができるからです。
また、発展途上国の不動産は
成長に従って長期的に見れば右上がりに上がる原則がある一方で、
海外投資家が合法的に不動産を取得できない国が多く、
そうした法制が変わり、外国人が買えるようになると
真っ先に市場に入り、低い価格で取得する離れ業も見せたりします。
中長期的な投資を前提とした
不動産・ベンチャーキャピタル投資の場合、
投資した後はどのようなタイミングで売却するかの
出口戦略が極めて大切になってきます。
投資が成功したかどうかは、
最終的に投資物件を売却して利益を確定しないと
現実には確定しません。
「時価がいくらだからこれだけ儲かっている」
という人がよくいますが、実際問題としては
その段階では単なる「絵に描いた餅」にすぎないのです。
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