「骨董ハンター南方見聞録」の島津法樹さんの
道楽と趣味をかねた骨董蒐集の手のうち

第143回
<とぴっく10>
アジアのリッチマン インドネシア編
金作り、どこでも不動産+○○○

東インド会社倉庫跡

世界のリッチマンに共通する一面がある。
それは必ず不動産とかかわっていることだ。
アジアの国々がこの頃日本と良く似てくることも
共通性があるように思う。

インドネシアについて言えば、
以前は広くて立派な道路を作っても
通行料をとるようなことはしなかった。
それがこの頃では大した道路ではないのに
新しく作られる道は殆ど有料道路となっている。
しかもあちこちに料金所を作り、
金を徴収するので道路が混み合っている。
聞くところによると
建設、運営etc.の利権が有力者に握られているからだという。

こんなことはヨーロッパやアメリカにはない思想だ。
日本の悪しきノウハウが移転した結果だろう。
嘗ての宗主国オランダの都市づくりは
十分な道幅を取り、環境を保護し、通行は無料
という原則が貫かれていた。
しかし今日インドネシアの道路作りは
日本の高速道路作りをまねた
「せこく金をとって、利権を得る」
という構造になっているようだ。
そんな利権にぶら下がっているインドネシアの人達は
みな金持ちだ。
この階層が骨董を楽しんでいるので悪口はいえない。
僕もいくぶんおせわになっている。

人口2億4千万のインドネシアの富の85%くらいを、
1%に当たる20〜30万人くらいの人々が持っているらしい。
僕が知り合いのラルフさんはそんな特権階級の人だった。
彼はサルベージや金融、ホテル、建設業など
手広く事業をやっている。
オランダ系の血が流れているのか、
顔立ちは西洋人そのものだった。
そんなハンサムな彼に惹かれて、
大統領ファミリーの娘が彼と結婚した。
そこから彼の事業はどんどん膨れ上がったのだ。
セレベス島、ウジュン・パンダンは
インドネシアで古陶磁が最も多く出土するところだ。
中国、ベトナム、タイ、日本の伊万里なども出てくる。
そんなわけで僕も足をのばしてこの地で度々仕入をする。
ここはオランダ植民地時代に城砦を築き、港を整備した、
東インド会社の一大拠点だった。
つい近年まで港には当時の建物が立ちならび、
往時の佇まいが残っていた。

17,18世紀の建物が並ぶ狭い通り。
海に沈む黄金色の夕日は
ちょっとした世界遺産よりはるかにロマンチックだった。
あるとき僕の取引先のハピットさんに
「ここでカフェでもやれば儲かるのと違う?」と提案した。
「こんな古い倉庫街しょうがないよ。
 アンタがやるなら持ち主知ってるから紹介しようか?」
とまで言われた。
1500平方メートルくらいの古い倉庫付土地が
24、25年前の話だが、5〜6万ドルだといっていた。


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