第64回
商品学(インドネシア編)
3. セクシーな原始アート
25年ほど前、
インドネシアやフィリピンで沢山骨董を仕入れていた。
毎回大型ダンボールに陶磁器やブロンズなどを
詰め込めるだけ詰めて5個、6個と荷造りし、
飛行機に積み込んだ。
300キロを超える荷をめぐり、
チェックインカウンターでいざこざを起こしたことなど
枚挙に暇がない。
そんな日々をすごしていた時、
うらぶれたジャカルタKホテルで
アメリカのディーラーと出会った。
彼もジャカルタで骨董の買い付けをしていた。
しかし彼の部屋や身の周りには
僕のようにダンボールの山があるわけではなく、
いつも小さなボストンバックがひとつあるだけだった。
「ノリキさん、あんたそんなに重くてかさばるものを買って
大変だね」
というのだ。
「日本じゃ焼き物しか売れないんだよ」
というと彼は哀れみの表情を浮かべた。
「体力勝負だね。僕も昔はそうだった。」
といって何故か自分の頭の横をコンコンと叩く仕草をした。
自分はここを使ってるんだとでも言っているのだろう。
骨董屋もジャカルタくんだりまで来ると
体力勝負的なところがある。
30キロを越える備前焼に似た大型の壷を200ドルで買い、
持って帰って500ドルくらいで売るのだ。
壷一つ売って買値の2.5倍くらいにはなる。
当時のレイトで7,8万円くらいの利益を出していた。
しかし、運賃や荷造りなどを考えると
実際の利益は2,3万くらいだろう。
そんなのを10個程仕入れると、もうへとへと。
それにこの仕入れは目論見をはずすと売れずに
いつまでも店に残り、躓いたりもする。
僕はそんなことで悩んでいた時期だった。
「アンタ何扱っているの?」と尋ねると、
ボストンバックのファスナーとチューと引っ張って開け、
中から紙包みをごそごそ取り出した。
そして「ホラ!」という風に僕に手渡した。
そして開けてみろと青い目をパチッと瞬きして促した。
手にとって見るととても軽い。
木製品のようだった。
くるくると簡単に包まれた紙包みの中から
へんな木彫りが出てきた。
高さが15センチくらいの、よく使い込まれ光沢のある木馬だった。
頭の部分が男性器になっていて
そこから女の顔が飛び出ていた。
尻のところは妙に色っぽく・・・(来年1月5日・第65回に続く)
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プリミティブアート木彫
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