「骨董ハンター南方見聞録」の島津法樹さんの
道楽と趣味をかねた骨董蒐集の手のうち

第20回
実務編(10)
微笑みの国したたかタイ骨董屋との取引

初めて訪れたタイはとても印象がよく、
微笑みの国だというのは本当だと思った。
言葉遣いは柔らかいし、
出会う人々は皆いつも微笑みながら、
両手を前にあわせサワディと柔らかい感じで挨拶をしてくれた。
ところが1年、2年経つうちに
何か深〜いところに、かた〜いものがあるような気がし始めた。
もっと言えば油断ができない、
心から信頼できない何かを感じることがある。
値段交渉をしていても、いつもニコニコ笑いながら
頭の中では全く別のことを考えているのだ。
そして肝心のところへくるとビシッと決められる。

「そのスコータイ仏良いね。幾ら?」
「ああこれね。ミスター小西が欲しがっている」
と言う風に僕のライバルを入れてくる。
「じゃ、彼手付け打ってるの?」
「いいや、彼は金払いが悪いからね。困っているんだよ。」
「じゃあ僕に譲ってくれても良いじゃないか」
「でも話は一応聞いているもので・・・・」
と語尾を濁す。
この辺りで値段が出てくるのだが、かなり高い。
どんどん攻めてゆくと
「ミスターノリキ、あなたはチェックが厳しい。
 いつも良いものばかり選ぶからこちらもやり切れんね。
 小西さんは偽物でも本物でもわからないからね。
 アハ、アハ、アハ。買ってゆくよ。」
こんな感じで突き落とされたり、
持ち上げられたりして
相手に鼻の先を握られ振り回されたことも一度や二度ではない。
それに取り置きを頼んでいても平気で売ってしまうし、
人によって値段もずいぶん違っているようだ。

特にタイ人女性との取引なるとものすごく細かくてねちこい。
はじめタイが好きだといっている人たちも
しばらくするとあの粘着質の商売のやり方に
反発を覚える人も少なくない。
とにかく歴史的に見ても、
タイ人は本当に交渉力のある人たちなのだ。
この国は不安定な政治状況が続く東南アジアにあって、
常に外交でバランスと保ち、一度も植民地になったことがない
恐ろしい国なのだ。
でも美術品は素晴らしいものがあって僕を魅了してやまない。


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