「骨董ハンター南方見聞録」の島津法樹さんの
道楽と趣味をかねた骨董蒐集の手のうち

第19回
実務編(9)
大阪商人と反対のドイツ人商習慣

昔会社勤めをしていたときに
フランクフルトへ骨董品の視察兼買い付けに行ったことがある。
大きな店構えでフランクフルトでも一流の店だった。
日本の漆やデルフトのタイルなど気に入ったものがあったので
値伝を聞いた。
漆の箱は日本円で30万くらいだった。
こちらも会社の看板をせおって行っているので
かなり強気でバンバン値段交渉をした。
しかし、鼻先であしらわれて
やっと3万円引きの27万ということになった。

だいぶフラストレーションが溜まったが27万を飲んだ。
いざ支払いと言うときカードでいいかと聞くと
キャッシュでくれといわれた。
マルクの持ち合わせがなかったので、
トラベラーズチェックで支払うといったらそれも断られた。
チェックを銀行で交換してこいというのだ。
僕はこのときドイツの商売人の
融通のきかない一面を見てしまったような気がした。

結局ここでは何も買うことができなかった。
それに僕が店を出るとき振り返ると
店員は「ダンケ」とも言わず、
フンという感じで奥に入ってしまった。
他の店に回ったが似たり寄ったりだった。
東洋人に対する蔑視があるのか、と思っていたら
アメリカ人も同じように扱われていたので
恐らく全ての客に対してこの態度なのだろう。

もう一つ経験したこと。
骨董というのはガラスや陶器、木工から金工まで
それこそ人間が作るあらゆるものが対象である。
が、こんなことを言われた。
「どんなアイテムをお探しですか。」
「ええ、ちょっと見せてください。」
ただなんとなくウインドショッピング的に見ていた。
「あなたが言っていることはよくわからない」
何故アイテムを決めて入ってこないんだと言うような態度だ。
「どうしてですか。僕の気に入るものを探しているのです。」
「だからあなたの探しているもののアイテムを
 お聞きしているのです。」
とこんな風に議論になってしまった。

どうしても売らなければならないとか、
何とかサービスをして買ってもらおうというような
売り手がへりくだった感覚はまったく見られなかった。
こんなことをやっていては
大阪ではきっと店は潰れてしまうだろう。
このことは何もドイツだけではなくて
ヨーロッパ全体の小売商に流れているムードだ。
日本の愛想の良い骨董屋が懐かしい。


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