「骨董ハンター南方見聞録」の島津法樹さんの
道楽と趣味をかねた骨董蒐集の手のうち

第17回
実務編(7)
続危ない中国骨董商との話

何度が大きな取引をした中国骨董商の大人王さんから
ある日僕の店に電話がかかってきた。
「ノリキさん、今日大陸から大変良いもの来ました。
 ちょっと値段が張りますが買いますか。」
という。
これまでの取引で一度もトラブルがなかったので、
大いに期待して僕は香港行きの機中の人となった。

ターミナルを出ると例によって大型ベンツが僕の前に横付けられ、
まっすぐ王さんのマンションに行った。
広いマンションの一室に名品がずらっと並んでいた。
聞いてみると2日前に到着したばかりで、
まだ誰にも見せていないとのことだった。
彼を信じきっていたので、
そこにある品物はどれもこれも素晴らしく、
欲しいと思うものばかりだった。
明代の景徳鎮窯で焼かれた官窯の染付盤、
遼三彩の牡丹文大皿、殷の銅器など、
一流美術館の重要な展示物と比較してもまったく遜色がない。

しかし、マンションの部屋がその時いつもと違ってやや薄暗く、
見づらいなと心の中で思っていた。
しかしそんなことは全く気にせず、
並べてある品々を夢中でチェックしていた。
気に入ったもの2,3点取り上げて「幾ら?」と聞くと
「今回は色々な経費もかかっているので少し高いが大丈夫か」
と僕を労わる様に聞く。
こちらもつい頑張ってしまってかなりな金額を買い付けた。
渋る王さんを説得して、
そのうちのいくつかをホテルに持ち帰った。

部屋に入って冷静になり持ち帰った作品をじっくり眺めると、
何か少し異質なものを感じた。
そこで古傷や、土臭、カセなどを細かくチェックした。
すると本当に良く出来てはいるが
持ち帰った全てのものがコピー作品だった。
すぐ王さんに電話をかけたが、
空しくジー、ジーと呼び出し音が鳴るばかりだった。

翌朝彼を捕まえたところ態度がガラッと変わっていた。
「アンタあれだけしっかりと
 自分の眼で見て買うと言ったじゃないか」
「でも王さんだって
 トラブルがあれば保証すると何度も言ったじゃないか。」
「今回はそんなこと言わなかった。
 アンタの判断で買ったのだからな」
そう言えば今回の取引には
一度も保証するということを聞いてはいなかった。
以前に幾度も聞いていたので
今回も同じようにしてくれると思い込んでいたのだ。
だます人よりだまされるほうがアホなのだ。

中国骨董商との取引は本当に細心の注意を払わなければならない。
相当長い間仕込をやられて
一挙にガバッと損害をこうむることがある。
勿論良い人もいるのだろうがいまだめぐり合ったことはない。
僕の支払い方法はいつも品物とキャッシュの交換だったので
ホテルに持ち帰ったものだけの損害ですんだ。


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