誰が日本をダメにした?
フリージャーナリストの嶋中労さんの「オトナとはかくあるべし論」

第131回
マジメが悪いか?

この国では勉強ばかりしている子は
「ガリ勉」だ「点取り虫」だと、
軽んじられ侮られる風潮がある。
中学の同級に私の上を行くガリ勉がいて、
結局、東大まで進んだのだが、
その後の消息はさっぱり聞かない。
彼は運動がからっぺたで、勉強しかできなかった。
性格も地味で、マジメだけが取り柄だった。
成績は常に学年トップ。
それでも最後まで変人扱いされ、
同性からも、また異性からも
特別な敬意を払われることはなかった。

明石家さんまというタレントがいる。
視聴者の好感度が一番高い人気タレントだそうで、
CMはおろか、チャンネルを回せば必ずどこかの番組に、
あのいくぶん反っ歯で唾を飛ばしながらしゃべる
騒々しい男が出てくる。
私はこの下品な大阪人と、
所ジョージとかいう
得体の知れぬチャランポランな男が大きらいで、
この二人がテレビ画面に出てくるだけで、
空気が穢れたような気分になる。
連中もネアカ全盛時代に咲いたアダ花か、
と半ばあきらめてもいるが、
こんな軽薄才子が好感されるようでは、
この国の将来もクラいという外ない。

結婚前の娘たちに「理想の男性は?」と聞くと、
みな一様にやさしくて、頼り甲斐があって、
そして明石家さんまみたいにおもしろい人、と答えるのだという。
わが家のノーテンキ娘に同じ質問をしてみたら、
やはり「おもしろい人」というのが条件の一つだった。
「マジメな人はちょっとね……クラそうだし」と、
次女などは「マジメ人間=ネクラ」と勝手に決め込んでいる。

これは聞いた話だが、
外国人留学生はみな口を揃えてこう言うという。
「日本の学生はバカばっかり。
 話題といえば芸能ゴシップ話ばかりで、
 冗談こそ得意だが、マジメな話を議論するとなると
 手も足も出ない。何も考えてないのだ」。
つまり頭が空っぽの、
さんまや所ジョージの亜流みたいな学生ばかりだというのである。

私は再三言っている。
ネアカは根バカなのだと。
ネクラの私だって、たまには冗談くらい言う。
しかし、のべつまくなしの冗談では、ただのバカだろう。
マジメ人間が敬遠されるという奇妙なご時世になってしまったが、
このままでは国じゅうが半端なお笑い芸人で埋まってしまう。
はっきり言うが、
根が不マジメな人間など、どこへ出しても使いものにはならない。
マジメ人間こそが国の礎で、
不マジメなネアカ人間は亡国の徒なのだ。


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