第63回
悲しい女子アナ
さすがに公共電波に乗せるだけあって、
女子アナに非美人や不美人はいない。
頭の出来もよろしいようで、
米国ハーバード大学のロースクールを出た才媛もいるという。
もっともNHKの看板アナでも
スポーツ感動場面で「鳥肌が立つ」といったり
「やばい」というヤクザ言葉を
“なにげに”使ってしまうくらいだから、
才女といっても底は知れている。
それでも超難関の試験をかいくぐってきたエリートであることは
まちがいなく、プライドだって高かろう。
ああ、それなのに。
冬でもノースリーブを着せられたり、
むりやり水着を着せられ、
あられもない姿をお茶の間にさらしたりするのはなぜなのか。
アナウンサーがどうして水着姿にならなくてはいけないのか。
「そんな恥ずかしいマネ……私、できません」
ときっぱり断ったりすると、
あとで局側からひどい仕打ちでも受けるのだろうか。
それとも入社時に、お色気サービスも厭いません、
という一札でも取られているのだろうか。
才色兼備の女子アナは、
いってみれば衆に優れた選良たちである。
その選良たちが水着を着せられ、
あまつさえハレンチなかっこうを強いられる。
哀れである。
女子アナとは名ばかりで、
彼女たちもタレントという名の軽薄才子と
同じ穴のムジナではないのか。
だいいち、どうして女性アナではなくて女子アナなんだ?
これって、女流作家や女医さんと同じく、
立派な差別用語じゃないの?
それにしてもイケメンの男子アナが
どの局も品薄なのはどうしたことか。
NHKなどは「チ○、デ△、メガ□」のオンパレードで、
とても水着など着せられやしない。
これはどうやら美声だけでなく
「親しみやすさ」が優先されるためらしい。
あんまりカッコいい男を出してしまうと
世の多数派を占める非イケメン男の立つ瀬がない。
受信料不払い運動にさらに拍車がかかる恐れもある。
で、不細工なアナを出し
視聴者にちょっぴり優越意識をもってもらおう、
という局側の深謀遠慮なのである。
しかしものには“ほど”がある。
あのご面相はもう少しどうにかならないものか。
受信料を払っている女たちは
なぜ「ヨン様みたいな美男アナを出せ!」と
NHKに抗議しないのだろう。
私には、そのことが甚だ不審なのである。
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