ガンを切らずに10年延命-関根 進

再開!元週刊ポスト編集長の目からウロコの体験秘話!

第383回
邱永漢さんの≪言葉≫の威力・3

成長中国をめぐる
これからの予見のキーワードは
「中国の食糧にあり」――
玉村豊男さんの近著「邱永漢の予見力」
感想の続きです。

中国14億人の食糧問題にターゲットを絞り、
これから10年後の地球経済全体の予言をしている
部分は圧巻です。

いまは遅まきながら、
何やら統計数字を弄びつつ、
「これからは中国の時代だ」などといい始めた、
頭でっかちな経済学者や分析家も
たくさん現れる時代となりました。

しかし、本書でも明らかにしているように、
邱さんの予見力の凄さは、
実際の中国大陸の奥地まで足をのばし、
後輩たちを指導しながら、
自身で、黒毛和牛、永田トマト、雲南コーヒーいった
食糧に関わる予見事業を
すでに実践していることにあります。

僕も、週刊ポスト以来、40年近く、
付き合わせていただき、
邱さんの率先垂範の予見力には
感嘆し続けている1人ですが、
講演を聞いても、500冊に及ぶ著作を読んでも、
もう1つ、感心することがあります。
それは、邱さんが速射砲の如くに放つ、
言霊のエネルギー=言葉の威力です。

本書にも、邱さんの予見力を彷彿とさせる、
含蓄の深いキーワードや名言が、
たくさんちりばめられています。

「事業は、思いついたらすぐにやらなければいけない」
「日本人は植物です」
「偶然が偶然を呼んで、新しい道が開ける」
「失敗の中にノウハウあり」
「アメリカ式民主主義は、愚か者が愚か者に
投票するシステムのことでしょう」
「農業の豊作貧乏より工業の豊作貧乏の方が怖い」
「これから10年で起こる最大の変化は、
中国が食糧不足に入ることです」

そして、邱さんは料理研究家で有名な
奥さんの潘苑蘭さんを
「カミサン、カミサン」と呼んでいますが、
数多ある邱永漢名言の傑作中の傑作は、
不動産を買う時に、
必ず奥さん(*カミサン)の意見を聞くという
エピソードの裏に隠されています。
「金儲けの神様の上に、もうひとり、カミさまがいる」――、
じつに洒脱な老師だと思いませんか?

こうした予言・名言は、
普通の経済学者の口からは出てきません。
まさに「思いついたらすぐにやる」――
邱さん、85歳にして、ますます意気軒昂です。
まだ、読んでない人は年末年始にじっくり読んで、
2010年からの計画を立てましょう。


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2009年12月4日(金)

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