国際結婚してフランスの田舎に住んで

パリだけがフランスではありません

第111回
国が違うとキャベツの味も違います

海外に出れば、その国の食堂やレストランで食事をします。
知っている料理名だから安心して注文したのに、
目の前に現れたのは思ってもみなかった代物だったり、
味だったりした経験ありませんか。

実は同名の料理や素材でも、
その国によってまったく違う調理法だったり、
風味が違うことは良くあります。

たとえば海外で肉といえば固まりで売られるのが普通。
何ミリといった薄さのスライス肉はまずありません。
どうしても日本のような薄切り肉が欲しければ、
自分で工夫するしかないわけです。

こうした日本との違いは、ごく日常的に使う野菜にもあります。

フランスに暮らし始めた頃、
私は私の知っているキャベツを探しました。
春から夏が旬(実際は1年中あるでしょうけれど)で、
薄緑でつるつるした葉をしっかり巻いた塊。
当然このイメージを求めました。

ここではキャベツのことをシューchouといいます。
桃太郎のようにシューから子供が生まれる話があるくらい
昔からポピュラーな野菜です。
ところが日本と違いキャベツは一種類ではありませんでした。

もっとも一般的なのが
シュー・ヴェールchou vert(vertは緑という意味です)。
冬の代表野菜です。
色は外側が深緑で中心に行くにつれ薄緑になります。
葉っぱの表面はまるで縮緬のようにちりちりしているうえ、
一枚一枚部厚くしっかりしています。だから生では食べられません。
いろいろな調理方法がありますが、
これを使ったスープはフランス、
特に私たちが住むブルターニュ地方の
冬の定番家庭料理になっています。

次ぎがシュー・ブロンchou blanc。
これも冬に出まわります。
形態は日本のキャベツとほぼ同じですが、色は白っぽい。
実はライアテア島にはこのキャベツしかありませんでした。
島では他に選択肢がないのでこれを千切りや炒め物にしましたが、
ごそごそ硬くて美味しくはありませんでした。
ここではシュクルートという、
酢漬けキャベツの調理用として良く使われます。

最後が春に出てくる、
その名もシュー・プランタンchou printemps
(プランタンは春の意)。
鮮やかでみずみずしい緑の葉をしっかり巻いた表面つるつるの、
あのお馴染みのキャベツにいちばん近いものです。
でも完全に同じではありません。
日本のキャベツに比べ、千切りにすると腰がないのです。

国が違うとこんなにも同じ野菜でも違うこと、
住んでみて初めて気がつきました。


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2005年9月30日(金)

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