国際結婚してフランスの田舎に住んで

パリだけがフランスではありません

第104
フランスの愛国心

日本でも一部で報道されたと思います。
先週9月7日夜、
アイルランドのダブリンで行なわれた
サッカーのワールドカップ予選でのことです。

普通、サッカー少年である息子と
まあまあのサッカー・ファン
(特にフランス・チームに対して)である私は、
フランス代表の試合中継はほぼ見ています。
ところがこの日だけは衛星チャンネルの
ハリー・ポッター映画にチャンネルを合わせていて、
始まりの「不思議な光景」を見ていませんでした。
だから翌日France2の昼のニュースで知り笑ってしまいました。

ジェラルド・ダアンという、声帯模写を得意とする人が、
入院中のシラク大統領の声音で
キャプテンのジダン(フランス代表キャプテン)に
電話をしたのです。

フランスは
このアイルランド戦(ダブリンで行なわれた)に勝たなければ
来年のドイツ大会出場が危ぶまれていた崖っぷちでした。
本来は代表チーム引退を宣言していたジダンを呼び戻してまで、
背水の陣をしいて臨んでいました。
ジダンは98年優勝の立役者。
今でもフランスの国民的英雄といえるほど人気があります。

その彼に入院中の大統領から電話が入りました。
試合開始前の国家斉唱の際、
フランス国家と自分の事を念頭にぜひ胸に手を当ててほしい…
選手全員、その依頼に敬意を表し実行したというわけです。

アメリカのスポーツ選手が
表彰台でこうしたポーズを取るのは良く見ますが、
フランスのスポーツ選手はほとんどしません。
サッカー代表選手の試合はけっこう頻繁にあるし、
必ず試合前に国歌斉唱があります。
選手達は手を前後に組んでいたりするのが普通なので、
特に全員が胸に手を当てていた姿は
かなり奇妙というか不思議な光景だったといえるでしょう。
とはいえ「フランス共和国」に対する
敬意の表明でもあったわけです。

翌日その冗談の種明かしがありみな納得。
試合にはなんとか1対0で勝ったし、
特にそれ以上の問題にも話題にもなりませんでした。
誰もが「あっはっは」と笑ってすませてしまったところは、
いかにもフランスのエスプリだなと思いました。

ところでこれが日本だったら、
そもそもこうした「冗談」を発想する素地はないでしょうけれど
関係者はもとより
国中「バカにするな」といった反応になりそうな気がしますが、
どうでしょう。


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2005年9月14日(水)

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