第103回
ゴロワーズの国の喫煙者
フランス人とタバコは
切っても切れない関係にありました。
「ありました」と過去形にしたのは、
ここ2、3年、急激に喫煙者というか、
タバコの売上げが落ちているからです。
1950から70年代のフランス社会の移り変わりを追った
ドキュメンタリー・シリーズ番組がありました。
フイルム中、
まあ、みんなもくもく良く煙草を吸っていることかと驚きました。
画面の中はほとんど煙っていました。
またその頃のフランス映画でもタバコは欠かせない小道具だった…
なかでもジャン・ギャバン、リノ・バンチェラなど、
彼らからタバコを取ったらその魅力は半減するでしょう。
それほど彼らの煙草の吸い方は板についていたからです。
フランスはゴロワーズなど、
アメリカの銘柄に負けない
有名なタバコを作り出した国でもあります。
実は我が家に近いバーやセネの中心部にあるバーは、
まだまだ昔同様むせ返るほどの煙草の煙に満ちています。
が、これはあくまでも田舎の話。
都会の店では、バーやカフェでも禁煙席、あるいは全面禁煙なんて、
かつてのフランスでは想像もつかないような所が現れています。
なぜこんなに急激に変わったのか。
タバコとは無縁の私にはうれしい傾向ですが…
とにかく健康指向もさる事ながら、
値段が格別高くなったことが上げられると思います。
なにしろアメリカから始まった嫌煙権主張など
くそ食らえといった風潮だったのに、
その豹変振りは「値段」が理由としか考えられません。
日本円にして1箱700円近いのですから。
私たちがタヒチにいた頃、
エールフランスの機内が全席禁煙になりましたが、
ギャレーの一角は喫煙者に開放されていました。
TGVには2、3年前まで喫煙車両がありました。
でも今エールフランス機内はもちろんTGV車内も全面禁煙。
レストランも全面禁煙を売り物にするところすら現れています。
ついにフランスも、理由はどうあれ田舎を除いて
喫煙者は肩身が狭くなってきたといえそうです。
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