パリだけがフランスではありません

第7回
シャンパンの日々

セネで暮らし始め、
最近ようやくフランスの物価に対する実感が出てきました。
何が高くて安いのか。
これは主観によるところも大きいですが、
なにしろ物価高の島から移住したので、
当座はフランスの日常生活の何もかもが安く思えました。

以前は南太平洋に浮かぶ
ライアテア島に暮らしていましたが、
島の物価は東京と同じぐらいに高かったのです。
特に欠くことのできない食料品が高いのに、
いつも「値段の割りには」という不満がありました。
物はほとんど輸入に頼るわけですから
運賃を考えても高くつくのは仕方がありませんが、
すべてにおいて品質と選択肢に
大きな限界を感じていたわけです。

その点フランスは何もかも安く、
種類も品質も豊かでバラエティーに富んでいました。
フランスに限ったことでなく、
多分島以外のどこの国に行っても感じた
(日本に帰った時安いとは思いませんでしたが
物質的な豊かさを感じました)ことかもしれませんが、
私たちはこれから住むこの国に
興奮していたのは間違いありません。

当時、通貨はまだ「フラン」でした。
1フランが17円程度。
100フランちょっとでまあまあのシャンパンが買えました。
タヒチでは最低のワインが2本買えるかどうかの金額なのにです。
我が家を手にした
新生活の始まりを祝うにはもってこいのお酒でした。
最初の1週間というものシャンパンばかり。
それはそれは贅沢な日々でした。

今はとてもそんなことはできません。
つまりここの物価感覚に目覚めてしまったからです。
20フラン(今はユーロですが)でも
ちゃんと飲めるテーブルワインが買えました。
最低のシャンパンでもその5倍はします。
美味しいシャンパンは、
フランスでも普通の人にとって高級嗜好品なのです。

現在我が家でシャンパンを開けるのは、
年に1回か2回。
そう思うと、かの1週間は
まさに私たちにとって
特別かつ二度とない日々だったのかもしれません
(本当はまたそんな日があったら良いなと思いますけどね)。


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2005年1月31日(月)

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