Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第232回
「立ち直れた」と読者から感謝された『朝は夜より賢い』

初版から9年たった平成4年にベストセラーズの一冊として
朝は夜より賢い』が再版されました。
この本のまえがきで、邱さんは読者から
「あの本によって自分は立ち直れた。感謝している」
と何度もお礼をいわれたと書いています。

「天気に好天気と悪天気があるように、
景気にも好景気と不景気がある。
天気の調整はさすがに人智を越えているので、
ダムをつくって水をつくって水を貯めておくとか、
室内の温度を調整するくらいのことしかできないが、
不況に対する挑戦は公定歩合の上げ下げとか、
公共投資の前倒しとか、あるいは減税など
あの手、この手の対策がとられている。
これが、人生における運不運とか、
バイオリズムの調整ということになると、
どこから手をつけてよいか途方にくれてしまう。

わずかに人相見や手相見に頼るほかなく、
いまは悪い星まわりになっているから
ジッとしているのが得策ですよ、
というごく常識的なアドバイスに従うしか手がない。
人それぞれの幸運と不運は天候や景気によっても左右されるが、
多くはその人の環境に対する対応がもたらすものである。

しかし、そうした人為的なものも含めて、
上り坂にかかったり、下り坂にかかったりすることも事実である。
人生、調子のよいときもあれば、ピンチにおちいる時もある。
幸運な時は強気が支配するから
人のアドバイスなど先ず耳に入らない。

しかし、昨今のようにめぐりめぐってピンチが再来すると、
一体、自分はどこまで落ち込むのだろうかと
恐怖心に襲われる人が多くなる。
そういう時に、自分の身近に何が起きるのか、
悪いことはどこまで続くのか、
前途に光が見えてくるのはいつ頃なのか、
私自身の体験にもとづいて書いたのが
この『朝は夜より賢い』である。
「オール生活」に連載して単行本として出版されたときは
本当によく売れた。
しかし、それよりもうれしかったのは、
『あの本によって自分は立ち直れました。感謝しています』
と再三ならず感謝されたことであった。
いま再びこの本が読まれる時期がきているように思うが、
はたしてそれを喜んでよいのかどうか。」
(ベストシリーズ版『朝は夜より賢い』)


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2003年4月16日(水)

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