第222回
老後の対策が光ってきた『人生後半のための経済設計』
折々の時点での効果的な投資法について書いたエッセイ、
昭和44年に書いた「財産としての買い方、つくり方」、
それに昭和42年に書いた「年をとらない法」を三部作として、
昭和45年に『お金の値打ち』と題して世に出し、
昭和49年には『新お金の値打ち』と改題して
再登場した著作がQブックスシリーズの一冊として
昭和58年に『人生後半のための経済設計』と題して
三度目の登場を果たしました。
邱さんが寄せた「まえがき」を引用します。
「昭和45年に『お金の値打ち』と題して、この本を出した時は、
お金の値打ちがだんだん減っていく社会的、
経済的な傾向にどう対処して、
自分たちの生活をどう守るか、が主たるテーマであった。
だから『インフレ時代の株式投資』だとか、
『サラリーマンのインフレ対策』をトップに盛ってきて、
『永久インフレを乗り切る法』という一章を設けたりした。
出版して3年あまりの間に、およそ10万部売れた。
少し時間がたつと、
第II部の『財産としての家の買い方、つくり方』や
第III部の『40歳からの生き方、考え方』は
少しも古くならないのに、
株式投資の部分が時世にあわなくなったので、
その部分だけ書き直して
昭和49年に『新・お金の値打ち』と題して、改訂版を出した。
これも度々、版を重ねて、5万部くらい売れた。
今度Qブックスに入れるにあたって、
もう一度、はじめから読み返したところ、
利殖に関する部分はさすがにそのままでは通用しなくなったので、
全面的に入れ替えて、『蓄財のヒント』『遊ぶために働け』
『利殖のインターチェンジ』の3篇を加え第I部とした。
15、6年前に比べると、高度成長から低成長に移っただけに、
利殖の環境が一変しており、株のやり方も、貯蓄の仕方も、
税金に対する考え方もかなり違ってきている。
投資の対象として黄金が登場してきたことも、
この本の初版の時には想像もしなかったことである。
とりわけ日本人行動半径が世界的な規模になり、
蓄財の範囲が国際的になったので、
外国株や外国の債券も私たちの射程距離に入ってきた。
しかし、15年あまりたってみて、ますます切実になってきたのは、
『老後の対策』であろう。
私はかなりあわて者だから、昭和42年の時点で、
やがて日本の国全体が老齢化社会に入ることを予想して
サンケイ新聞に『年をとらない法』を連載した。
はじめてこの本をつくる時は、
まだ老齢化に対する世間一般の認識がそれほど強くなかったので、
『人生後半のための経済設計』と改題して収録した。
しかし、今日になってみると、この部分の方が
遥かに重要な意味をもつようになったので
この際、本そのものの書名もこれにかえることにした。」
(『人生後半のための経済設計』まえがき)
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