Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第174回
「きびしい注文をつけるお客は物を買ってくれるお客です」

邱さんの『香港の挑戦』が出版されてから6ヶ月あとに
王増祥さんによる『“ニッポン”との対決』が
徳間書店から出版されました。
この本は邱さんの手になる「はじめに」からはじまっています。
以下、この邱さんの「はじめに」の一部を抜粋します。

「『香港の挑戦』が発表されると、
いささか世論を喚起することになり、
今まで買い占め屋という一語で片づけられていた王氏が
別の角度からみなおされるようになった。
外国人が日本の株を買うのは、
日本経済に対して信頼感を抱いているからであり
それを一方的に買い占め屋と云って排斥するのは
日本人の度量が狭いと云われても仕方がない
という反省が出てきたのである。
この意味で、私は日本企業の古い体質をきびしく批判し、
その分だけ外国資本家の肩を持ったことになるが、
これから世界をリードする先進国として
全世界の批判に耐えて行かねばならない日本としては
やむをえないことであろう(略)

日本の企業の経営者にとって、
会社を運営して行く上で最も大切な存在は従業員であり、
その次に大切なのは金を貸してくれる銀行であろう。
資本主義である以上、株主あっての企業であり、
企業は株主の所有にかかわるものであるが、
株主が分散して誰が所有者であるか、
不明瞭になると、株主は『一過性の存在』と見なされ、
軽視されるようになってしまった。
だからそういうところへ突如として
大量に株を取得する者が現われ、
大株主権を行使しようとすれば、
外部から攻撃をしかけられたような感覚になるのも
無理からぬことである。
ましてそれが国内の買い占め屋でなくて、
外国人だということになると、
元寇の役か、黒船到来か、という危機感をそそり、
以心伝心で日本人の情感に訴えることになってしまうのである。

しかし、よく考えてみれば、これは主客顛倒であり、
株主の委託を受けて社長や重役に任命されたものが
株主の利益のために働く仕組みである以上、
新しい大株主が出現したら、その要求もきいて
利害の調整もしなければならないはずである。(略)

王増祥氏が投じた一石は、
奇しくも高度成長経済の下で形づくられてきた
日本企業の弱点や恥部をあばいて見せることになったが、
今度、氏の立場から日本の企業や経済界の在り方を
縦横に批判する本を出すことになった。
どこまで日本人を納得させることができるかは別として
私は日本人はもっと広い心で首を傾ける必要があると思う。
なぜならば色々ときびしい注文をつけるお客は
物を買ってくれるお客であり、
適当に調子をあわせてくれるお客は
何も買わないお客と決まっているからである。」
(王増祥著『“ニッポン”との対決』まえがき)


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2003年2月17日(月)

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