Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第135回
全集の発刊が機縁になって生まれた『金儲け未来学』

昭和47年に『金儲け未来学』が刊行されました。
この本は前半は国内編、後半は国際編と
二部で構成されています。
前半の国内編は、
邱永漢自選集10巻の各巻が発刊されるときに、
添付して配布される月報に邱さん自らが書いたものです。

自選集の一番最初に売り出されたのが、
『週刊現代』で連載された『私の金儲け自伝』でしたが
もともと邱さんはこの半自伝を『お金儲けの神様縁起』と
名づけて執筆するつもりでした。

「縁起とか出来物とかいうのは、
いま名所旧跡になっている地方の神社仏閣などへいくと、
立看板に大書してあるものであるが、
『昔の人はこんなものにどうして熱心だったのだろうか』と
不思議に思われるような代物が多い。(略)

人生の指針を教える歴史上の大教祖でさえも、
後年になると、縁起、由来伝に
わずかに名をとどめる程度にすぎないのだから、
世俗的なお金儲けの神様では、
現代の救世主というわけにはいかないだろう。
宗教心が衰えて金銭の亡者ばかりふえた
物欲全盛時代の神様を揶揄する気持ちも手伝って、
私はわざと、そういうタイトルをかんがえたのだが、
『お金儲け』を現代の一番重要なテーマと考えている
出版社には、それが通じないのである。
おかげで私の半生記がとうとう
『私の金儲け自伝』という名前で定着してしまった。」
(『金儲け未来学』)

いずれにしても書かれた内容は、どうして小説書きが
『お金儲けの神様』になったかの経緯で、
これから先の金儲けについては書いていません。

こうした経緯をふまえ全集を発刊した徳間書店は
邱さんに全集各巻に添付する月報には
邱さんご自身に儲け話を書いてもらいたいと要請しました。
「金儲けのタネさがしの私の嗅覚は、
それだけでも売物になるものだから、
『週刊現代』ではしょってしまった部分を、
ここに展開して見せろ、と徳間書店さんはおっしゃる。
『どうせ邱センセイの本を買う人は、
邱センセイのお友達が邱センセイを持ちあげる記事なんか
読みたいわけはない。
自選集の月報も慣例を破って、自分ひとりで書いてください。
10回通しで書いて、毎月、読者を富ました上に、
書きおわれば、単行本になるじゃないですか』
とこれまた『週刊現代』をしのぐ驚くべき商魂である。

そういう話に乗るほうも負けずにガメツイ奴じゃないか
といわれるかも知れないが、面白い企画だから、
ではお望みどおりにしましょうというわけで
『金儲け未来学』を書くことになったのである」
(『金儲け未来学』)

ということで、本書の前半を構成する「金儲け未来学・国内編」
の文章が書き上げられました。


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2003年1月9日(木)

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