第78回
若者の自動車熱にふれてトヨタ株を買いました
香港で大金持ちになったとき
オスチン70という車を買っていた邱さんは
日本にもどり、原稿料収入が増えるようになってから
ルノーの中古車を買いました。
そして株を買った頃にはルノーを卒業し
トヨペットの新車に乗り換えました。
トヨペットを買った邱さんは
「お金について締まり屋の自分が無理をして
新車を買うくらいだから、自動車産業は
これから発展するに違いないと直感し」
(『一家に一台火の車』)
増資をするらしいというニュースが流れていた
トヨタ自動車の株を買いました。
さてトヨペットのお客になったので、
毎年秋に晴海で開かれる自動車ショーの切符が入り、
会場に向かいました。
その道中そして会場のなかで思わぬ光景に接します。
「自動車ショーへの道を行くと、
ものすごい人の群れが歩いてくるのです。
当時でも、車は一台100万円はしていましたから、
当時月給2万円程度だった人たちが
買えるしろものではありません。
私としても、やっと100万円前後の車を
一台買ったばかりでした。
ですからまさかこれだけ多くの人が、
車を見に行くはずはない、
きっと中で運動会でもあるのだろう。
そう思いながら、実際に会場に入って驚きました。
あの人の群れは、ショーを見て、帰りの電車に乗れないで
溢れた人たちが歩いていたのでした。
ここで私は深く感じるものがありました。
日本の若者は、将来貯金がたまったら車を買おうなんて、
そんな生易しいものじゃない。お金がなくても車は買う、
これは爆発的なブームにならざるをえない。」(『株の原則』)
邱さんはがぜん自動車産業の将来に対して強気になり、
翌朝、証券会社に電話をかけトヨタ自動車の株を
成り行きで更に買い増しました。
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