Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第14回
台湾全島を揺るがす2・28事件が勃発しました。

戦後の台湾を襲った不幸に立ち向かう台湾にやってきた陳儀と
その配下の役人たちは利権漁りと賄賂稼ぎに懸命で、
法律などなきに等しく、そのため全島を猛烈なインフレが襲って、
台湾住民の間には怨嗟の声がみなぎっていました。

邱さんが帰郷した翌年の1947年(昭和22年)の2月28日、
台湾住民の不平・不満が溢れ出し、
台湾の自治を要求する一大運動が勃発しました。
『失敗の中にノウハウあり』という作品に書かれた文章で
この事件の起こりを確かめましょう。

「事の起こりは、日本人の遺していった酒、煙草の専売制度のある台湾で、
 上海から密輸されてきた煙草が公然と売られており、
 専売局の取締官がそれを取り締まりに出て、
 過って人を撃ち殺したことにある。
 ヤミ煙草を道端で売っている老婆の屋台を取締官が取り押さえて
 煙草を没収しようとしたところ、何事かと思って、
 二階の窓から顔を出した男を取締官が拳銃を抜いて撃ち殺したのである。
 たまたま殺された男が台北の有力なヤクザの一員であったため、
 怒った組員たちがお祭りの時に出動する獅子舞を先頭に、
 専売局に抗議のデモをかけた。そうしたら
 かねてから当局に不満を抱いていた民衆の鬱積していた怒りに火がつき、
 デモは長い長い行列になってたちまち行政長官のいる建物の前の広場を
 埋め尽くしてしまった。
 このとき、陳儀がベランダに姿を現して
 釈明の一つもすればよかったのかもしれないが、
 彼自身にもうしろめたいところがあったと見え、
 公署の奥に隠れたまま、ベランダから威嚇射撃をやらかした。
 怒り狂ったデモ隊はたちまち専売局を焼き討ちにし、放送局を占領し、
 逃げかくれする外省人をつかまえて殴る蹴るの制裁を加えた。」

台湾史上に有名な2・28事件の勃発です。


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2002年9月10日(火)

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