Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第13回
銀行員になり、博士号をとるための論文「生産力均衡の理論」を執筆しました

生きていくためには仕事を持たなければなりません。
邱さんは一高、東大を卒業し、
台湾総督府の金融課長をしていた先輩に相談に行きました。
その先輩の紹介で、
先輩が主任を務めていた銀行の研究室の研究員となりました。
研究員といっても、
自分で仕事をつくり出す以外にやることは何もありません。

当時の邱さんは学者になろうという気持ちを持ち続けていました。
そこで、先輩の了解を得て、銀行の社内報に寄稿する以外は、
研究室の机に向かって中断していた、博士論文の執筆を再開しました。
『生産力均衡理論』と題する長論文で、
銀行に勤めていた1年間に完成させました。
論文の主旨は、
「ケインズが貯蓄と投資の均衡を主張したのに対して、
 金融操作だけでは景気の調整には不充分で、
 年々消費のふえる分と年々生産のふえる分の間に、
 しかるべきバランスをとるべきだ、
 そのためには金融だけでなく、
 公共投資も民間投資も含めた総合的な対策が必要だ、という内容」
でした。

運命のいたずらで、邱さんが東大の博士号をとることにも、
また大学の経済学部の先生になることにもなりませんでした。
ただのちになって、台湾総統になった李登輝さんから、
銀行の研究室に残されていた邱論文を読んだと聞いたそうです。


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2002年9月9日(月)

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