Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第4回
邱さんは14、5歳の頃、個人雑誌『月来香』を発行しました

邱さんの作品を紹介する前に、
邱さんが生まれてから作家になるまでの道のりを
駆け足で追ってみましょう。

邱さんは1924年(大正13年)3月28日、
日本の植民地であった頃の台湾の古都、台南市で、
台湾人の父と日本人の母の長男として生まれました。
邱家の跡取り息子として台湾人である父の籍に入りました。
生まれたときの名前は邱炳南です。
小学校時代から抜群にできる生徒で、13歳のときに、
7年生高等学校であった台北高校の尋常科(中等部)に入学しました。
それから1年たった14、5歳の頃から
文芸活動に興味を向けるようになりました。
当時のことを回顧して邱さんは書いています。

「尋常科に入ってから二年もすると、
 文学にかぶれるようになり、
 ついに自分で詩を書いたり、
 短編小説を書いたりするようになった。
 しまいには病こうじて『月来香』という
 個人雑誌まで刊行するようになった。
 文学かぶれの学生がガリ版刷りの同人雑誌を発行することは
 よくあることである。
 ところが、私の個人雑誌は和紙に活版刷りだった。
 表紙は高校の図書館に勤めていた木村さんいう職員が
 木版の趣味を持っていたので、
 その人に頼んで一枚一枚手刷りでつくった。
 中身の原稿は国語や理科の先生に書いてもらい、
 また校内誌で活躍しているクラスメイトに依頼するほか、
 あとのスペースは全部詩か短編を自分で書いて埋めた。」

と。

「活版で刷ってもらう代金は毎月の仕送りの中から捻出したが、
 足りない分は昼食代を節約して印刷屋に支払った」

とのことです。

これらは青春期を振り返った作品
『わが青春の台湾 わが青春の香港』(中央公論新社)
に書かれていることです。
邱さんの自伝が読みたいと思われる方には、
この作品や『私の金儲け自伝』(PHP研究所)
をお読みになることをお勧めします。


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