一、炒飯と冷奴と海苔
私は講演会などに行って、夜九時か十時になってから自宅に戻ることがある。まさかそんな時間まで待たせるわけにはいかないので、家族には先に食事をしてもらう。いまの炊飯器は保温がよくできているが、炊いて少し時間のたったご飯はおいしくないので、私はさめたご飯でチャーハンにしてもらう。
炒飯の要領は、まずわけぎ(大葱でもさしつかえない)を細かくきざむ。中華鍋にサラダ油をややたっぷりめに入れ、熱くなったところに、きざんだ葱を加えて、狐色になるまで焦がす。
葱が焦げると、一種えもいえない芳香を放つ。その中に冷たいご飯を入れて満遍なくかきまぜ、すっかり熱くなってから、卵の殻を割って卵を上にかけてよくかきまぜる。卵はご飯の中にまざって見えなくなってしまう。あとは塩と醤油と胡淑少々で味つけをすればよいが、醤油味の好きな人は醤油で色をつけ、嫌いな人は塩味をきかせればよい。冷奴は普通の日本式の冷奴でよく、熱い炒飯と冷たい納豆は実によく合う。炒飯の海苔巻きというのが、これまた不思議と海苔の味を生かすのである。
二、白切肉と搾菜のスープとキャベツ炒め
白切肉とは、豚のバラ肉で茄でてから冷蔵庫で冷やし、薄切りにして唐辛子醤油で食べるもの。バラ肉でやや脂身の少ないところを塊で五百グラム、たこ糸で堅くしばって、肉がかくれるくらいのお湯の中に少し塩を入れて約一時間くらい、弱火で茄でる。茄であがったら、取り出して水にすぐつけ、またすぐ水から出して冷蔵庫の中に入れて冷やす。食べるときに紙のように薄く切り、ソースは醤油、赤唐幸子、青唐辛子、それにニンニクのみじん切り、酢、ごま油をまぜあわせたものにする。
豚肉を茄でたお湯はダシそのものであるから、この中に搾菜と春雨を入れれば、おいしいスープができあがる。搾菜のかわりに、クレソンと鶏の砂肝を入れて二時間くらい時間をかけてゆっくり煮れば、前に述べた西洋菜湯ができあがる。
もう一つ、キャベツ炒めはどうだろうか。キャベツを炒めるのは簡単のように思うかもしれないが、おいしくつくるとなると、コツがいる。まず第一にキャベツに水分があること。炒める前に三十分から一時間くらい水につけておき、炒める寸前に水切りをしておくこと。つぎに炒める前に油の中にニンニクを入れて焦がしてから、少し塩を入れておくこと。第三にキャベツを炒めるときに、火力を全開にしておいて、ザァーッと大きな音がするくらい激しい勢いで炒めること。第四に、炒めすぎてベチャッとならないうちに、鍋からあげてしまうこと。キャベツのかわりにレタスを炒めても、結構、おいしいものができあがる。
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