私はイタリアへの料理修業期間3年間にイタリア国内の旅行は沢山しましたが、
一度だけイタリア国外に出たことがあります。
それはフランスでもなくスペインでもありません。
イタリアへ渡って一ヶ月が過ぎようとしていた時でしょうか、
イタリアの最北端スイス国境に程近い所ドモドッソラという町に滞在していた時です。
そこで友人何人かと、
あのアルプスの女王と呼ばれる「マッターホルン」を見に行こうということになり
列車でスイスに日帰り旅行をすることになりました。
(ご存知の方もいるとは思いますが簡単な説明をいたします。
マッターホルンとは、スイスとイタリアの国境に位置する
ヨーロッパアルプスの山で標高4478m。)
まだ肌寒い2000年3月、
私にはマッターホルンをこの目で見る他にもう一つ目的がありました。
それは、スイス(アルプス)といえば有名なあの食べ物。
チーズフォンデュです。
アルプス山岳部やその周辺の家庭料理・郷土料理で、
最も代表的なものではないでしょうか?
漫画「アルプスの少女ハイジ」で時折出てくる食べ物としても有名で、
ハイジが美味しそうに食べるフォンデュを思い出しつつスイスへ向かいました。
スイスに向かう列車の中から見える景色は言葉を失うぐらい気持ちを落ち着かせ、
大自然の息吹を感じさせてくれる絶景です。
そして驚いたのが、途中幾度か駅に停まるのですが
乗ってくるお客さんの80パーセント、
スキーウエアを着ていて片手にスキー板を担ぎ、すでにスキー靴まで履いています。
いくらなんでも気が早いのでは?と思いつつ
目的地のスイスはツェルマットの街に着くと
その人達はすぐに電気自動車のタクシー的なものに乗り込み
すぐ見えるリフト乗り場へと去っていきました。
私たちがコンビニへ買い物に行くのと同じくらいの気持ちで、
「ちょっと滑りに行ってくる!」みたいな印象を受けました。
私の記憶が確かならばツェルマットの街は
排気ガスを生む自動車、バイクは走っておらず
全て電気で動く車もしくは馬車しかありませんでした。
澄んだ空気を汚すモノが無くとても気持ちが良い街だったと記憶に残っています。
そして天にも届きそうな尖がった山、マッターホルンを眺めたあと
待ちに待ったフォンデュを食べる為、丸太作りの雰囲気ある食堂に入りました。
友人たち4人でテーブルを囲み目当てのフォンデュをひと口・・・。
思わずひっくり返りそうになったのは私だけでは無かった筈。
ふた口食べればお酒の弱い人は酔ってしまうほどアルコールがきついフォンデュでした。
チーズの持つ旨みや香りを全て消し去るほど強烈なアルコール臭。
まさか「ハイジ」はこれを食べていたのか?と考えつつも店主に聞くと、
「これを食べればコートなんて要らない。真冬でもマラソンが出来る!」
その前に酔っ払って真冬の外で寝てしまい凍死する・・・とつぶやく私たちでした。
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