雲南省は中国の西南に位置していますが、
ベトナム、ラオス、ミャンマーの3カ国と国境を接しており、
省の南北を貫く澜沧江はメコン川に繋がっています。
メコン川は全長4880km、流域面積80万k㎡弱の
東南アジア最大の国際河川ですが、
近年このメコン川流域諸国間の往来が活発になっています。
2001年、中国・ラオス・ミャンマー・タイの4ヶ国によって
メコン川国際水運が発足し、雲南省からラオス・ルアンパパンまで
4ヶ国の船舶が自由に航行できるようになりました。
上流側の雲南省やラオスでの水力発電所用のダム建設等により、
下流の水位低下や環境の変化による災害が懸念されてはいますが、
メコン川での水上輸送は、06年当時で年間60万トン余り、
航行可能な船舶の大型化が進んでおり、今後の大きな発展が期待されています。
数年前までは困難だった船による一般人の出入国も、
2005年の遊覧船の運航により、雲南省からラオス・タイまで
国境を越えた遊覧船観光が可能になりました。
ゆくゆくは、「雲南省からメコン川を下りながら、
ミャンマーからカンボジア・ベトナムまでの河川流域国を遊覧し、
さらに船で日本に向かって、沖縄や京都などの観光を経た後、
上海経由で長江を溯り、雲南に戻る」、
という「雄壮で美しい水上観光路線」を、日中で開発する計画もあるようです。
また現在、雲南省とメコン川流域の5カ国
(ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム)を
大メコン圏(Gerater Mekong Subregion、通称GMS)と呼び、
GMS経済協力という、壮大なプロジェクトが進行しています。
このエリアの総面積は233万k㎡、総人口2億6千万強、
GDP総額は2800億ドルと、日本の約6%という経済規模です。
(2005年度統計より、一部地域2004年度含む。)
この地域では、過去に国際紛争や国内の政情不安等の混乱があり、
また貧困地域も多いため、持続的な開発・発展の難しい環境にありました。
しかし、各国・地域がバラバラにではなく、
共に協力して開発していくべきだという精神のもと、
1992年よりアジア開発銀行の推進によって、このプロジェクトがスタートしたのです。
このプロジェクトの中でも最優先事項として進められてきたのが、
大メコン圏を東西南北に繋ぐ経済回廊(陸上インフラ)です。
2006年に開通した、タイとベトナムを繋ぐ東西回廊に続き、
今年3月20日に、
雲南省・昆明市とタイ・バンコクをつなぐ南北回廊の国内線が開通しました。
全線開通すれば、
昆明市からバンコクまで車で20時間で移動が可能となるといいます。
|