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19.はじめてのどたばたオープン

ホテルの人たちが、いくら日本的サービスを期待しているといっても、
日本人にもピンからキリまであります。

僕ともう一人いた日本人スタッフともに、コーヒーを飲む方の自信はありましたが、カフェでアルバイトをしたことさえない、完璧な素人でした。
いきなり、五つ星ホテルのロビーで、世界中のお客様を相手に高級感のあるカフェを開くといっても、全く想像もできません。
強烈な不安を抱きつつも、「いっちょやってやろうじゃないか!」という闘争心・好奇心が芽生えたのも確かです。

僕も加工場建設途中の産地から昆明に戻り、できるかぎりの事をしようと試みました。
とはいっても、素人の僕たちが自信を持って進めていけることは何ひとつ無く、
相談できるような上司・先輩も誰ひとりおらず、
正直大きな孤独感とプレッシャーを感じた時期でもありました。

唯一の救いは改装を殆どする必要がなかったことで、
何とか11月の邱先生の考察団前日にオープンにこぎつけましたが、
オープン時は、裏でスタッフとぐちゃぐちゃになり、
スーツも革靴もコーヒーでびしょびしょになっていました。
当時は本当に必死で、今であれば笑える失敗談も沢山ありますが、
恥ずかしいので秘密です。

考察団の30名以上の皆様にお出ししたコーヒーは、成功したとはとても言えませんが、
この時、最初の一歩が踏み出せたことは、僕たちにとって非常に大きな前進でした。

産地でもお店でも、新しいことを始める時は迷ってはいけません。多少無理があろうが何だろうが、一度決めたら即行動あるのみです。十分な時間をかけたところで、ここでは完璧に準備が整うことなどまずありません。
確かに途中恥ずかしい思いや多くの問題に直面しますが、やりながら克服し解決していけば良いのです。
あきらめず前に進み続ける限り、これが一番の勉強法であり、
目的地に向かう最短距離ではないかと思うこの頃です。

僕が雲南に来て学んだ大きな法則のひとつです。


2007年7月20日 <<前へ  次へ>>