コーヒー豆の精製はただひたすら選別していれば良いわけではありません。
農作物である以上、農場の状態によってコーヒーの品質も異なってきます。
この地域では農家(農村)が国から土地を割り当てられ、
各自好きな作物を植えて生計を立てています。
大規模なコーヒー農場は少なく、地主や地元ブローカーたちが
農民たちがばらばらに収穫・加工したコーヒー豆を買い付けて、
外地のブローカーや業者と取引をします。
当然安定した品質のものを継続して提供できるわけがありません。
そういう状況を目の当たりにしたので、とにかくまず沢山農場を見てまわりました。
適当な交通手段もなかったので、
スタッフのバイクを借りて産地の端から端まで、とんでもない山奥まで行きました。
良い農場を見つけても、条件面や輸送等の問題で
必ずしも買い付けができるわけではないのですが、
産地の状況をいろいろ把握することができました。
例えば多くの農場が農薬を使用していません。
無農薬栽培といえば聞こえは良いのですが、
農薬を買うお金が無いからでもあり、
すでに病害にやられている農場も少なからずあります。
この周辺では600mから1500mくらいの地域でコーヒーが植えられていますが、
気温が低めの標高の高い農場の方が、コーヒーの実もじっくり熟成し、
比較的粒も大きめで元気があります。
しかし一番重要なのは農場管理者の姿勢だと僕は思っています。
農場の状態を的確に把握し、水撒きや施肥を適切に行い、
除草や害虫の除去など手入れの行き届いた農場の樹は、
気持ちが伝わるのか、堂々と且つ活き活きしているように見えます。
そしてこのような農場は、毎年安定した良品質の原料を提供してくれる、
という安心感が持てます。
コーヒーの仕入れで大切なことは、
良い管理者がいる良い農場を探すことであり、
この人たちと継続した信頼関係を作っていくことが、
良いコーヒーを作る第一歩となります。
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