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161. 今でも華僑は増える

先日、ウクライナに行く途中に
モスクワで乗り継ぎの時間が長かったので、
近くにいた同年代の中国人男性に話しかけました。
太陽発電機をドイツに販売しにゆくという彼、
ドイツでは太陽自家発電機を設置するのに補助金がでるので、
いくらでも販売できると話してくれました。

頻繁に海外に出張するそのHさんは
「太陽電池を作っている中国は汚染されて、
購入している国はクリーンですよね」と話をしだしたら、
海外で知った中国内外の情報差に始めは大変驚いたと言い、
中国の抱える問題について次々語ってくれました。
「現在は高い税金、高い利子、低い賃金で中国人は奴隷同然だ。」
「土地が国有化されているから、
国に財産が集まり、一部の人間が簡単に稼いでいる。
以前、人民の土地を政府に集約する時、
北京では10日以内に届け出をしなければ、
刑罰を与えるという厳しいやり方をしたんです。
それで届け出が遅れた人々が処刑されたんです。」

聞いている私まで頭が痛くなってきましたが、
中国で働く外国人ならば、
中国で築いたものが
大なり小なり没収されるという不安はゼロではないし、
Hさんの気持ちはわからない訳ではありません。
つい最近、上海では70年の土地借用期間が終わったら、
その土地には残余価値は認められず、
国に帰さなければならないという決定がありました。
私は自分が稼いだお金は生きているうちに使えればいいので、
そんなに心配はしませんが。

日本では、そういう危機意識や歴史認識が薄いので、
国家に不信感を持つ人は少ないと思います。
だから、Hさんの国に対する不信感は頭では理解出来ても、
気持ち的に理解する事ができないのです。
Hさんの不信感の正体はなんなんだろう?
きっと、政府にひどい目に合わされた人々が親子代々忘れず、
自分の身は自分で守らないといけない、
母国と距離を置き、自立心を持つようにと
メッセージを伝えているんですね。

Hさんには
「中国の競争力のある商品を海外に売りまくるなんて、
相当面白い仕事じゃないか、もったいない!」
と意見をぶつけたのですが、経済が発展する今でも
中国人が海外に出てゆく事は止まらないのだと感じました。

絶世の活動情報 : www.zessei.com


2011年2月18日

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