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160. 絶世美人inウクライナ

春節休みは北京で過ごすつもりでしたが、
急遽ウクライナの首都キエフを訪れました。
以前の仕事で東欧・ロシアを担当したことがありましたが、
ウクライナには行ったことがありませんでした。
なぜウクライナに惹かれたか旅の途中で考えたのですが、
理由があるとすれば、ローマ帝国の末裔として、
今日まで幅を聞かせているグループからは外れていて
エスニックな印象。
二十数年前のチェルノブイリ原発事故で大勢の被爆者をだして、
ヒロシマと交流があり、日本と共通点を感じる点。
そして、何より航空券が何故かバーゲンで半額だったこと!
滅多にないチャンスとチケットを即入手しました。

実際に訪れたキエフは、
お隣のポーランドと違って古い街並みのままで、
聞いていた通り教会や街並みが大変美しい。
また美女大国と呼ばれているようですが、これまた事実でした!
ここまでは期待とおりだったのですが、
一番心に残ったのは、聖堂の中はもちろん、
教会にむかって至るところで十字を切って深く礼している
信心深い人々の姿でした。
私は普段葬式宗教にしか触れないものですから
驚きもひとしおでした。

ウクライナは大国ロシアの衛星国家に甘んじた時間がながく、
独立するまでに困難を極めたこと。
日本とアメリカの関係のように、
ロシアにひどい目に合わされてもなお、
付かず離れず関係を保っている。
つい数年前にも親ロシアと親欧米の政党がもめて、
革命事件が起きたような国ですから、
政治的に難しい立場にあるのです。
かといって、日本ほど経済の恩恵を受けてない。
そういうところだから教会が
ひとびとの心の支えになっているのかもしれないと感じました。

司馬遼太郎氏の本で
『文化は特定集団の中でだけ通用する特殊なもの。
ぬか漬けのように、知らない人にとっては感覚がきつい。
当人の間ではサナギのように心地よいもの』
と書かれていたのを思い出しました。
ウクライナを理解するには、
きっとウクライナ正教会を理解しないといけないと思いますが、
数日だけの滞在で、
キリスト教の聖人をみてもみんな同じく見える私ですから、
表層だけ見た感想です。
文明志向、グローバル主義ばかりだと息苦しい世の中ですが、
文化を大切にしている人には安らぎ、平穏がある。
私が生活している中国も文化大国ですが、現在は文化よりも
「有文明的人」=文明のある社会つくりに没頭しており、
私もそういう生活に染まっています。
キエフを訪れてそういうことに改めて気付き、
「たまには文化に振り返ろう」、そう思った旅でした。

絶世の活動情報 : www.zessei.com


2011年2月11日

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