「飲水思源(水を飲みて源を思う)」
この中国の古語は色々な解釈がありますが、
「水を飲むときにその水源を思う。
水源、
即ち井戸や水路を作った人達のことへの恩を忘れてはならない」
という戒めのことばです。
私は北京の生活に慣れましたが、
河の臭さと塵っぽい空気だけは慣れることはありません。
ライフラインの基礎である水はどのように確保されているのか、
大きな関心事だったので、
北京で使われるうちの20%の水を生産しているという、
高牌店汚水処理施設を見学しました。
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中国最大の高牌店汚水処理施設 |
実は、近所の河の水が、オリンピック前に全て抜かれて干上がり、
綺麗な水に入れ替えられたことがありました。
ドブ川だったのに、
今では水生植物や稚魚が観察できるようになっています。
汚水処理場を見学して、
実は北京市がオリンピック前に巨額の資金を投資していて、
ここ数年で9つの汚水施設が完成し、
2000年から2008年にかけて
汚水処理率が40パーセント代から90パーセント台にまで
急激に上がったということを知りました。
北京で事業をする人にとっては
あれだけ不便だったオリンピックでしたが、
実はとても大事なことを残してくれていたのだなあ
と今更知りました。 それでも、汚水処理場の案内してくれた方によると、
工場廃水を無断で河に廃棄するようなケースが
まだまだあるそうです。
当然、問題が発生したら調査されて罰金を科されるのですが、
汚水を廃棄するケースが後を絶ちません。
北京でこんな調子ですから、
その他の地域の汚水処理率は
まだまだ低いレベルなのかもしれません。
海や河へ工業用水を流してしまっては、
その水で育つ魚や作物、家畜を食べる人間へと毒が循環しますから、
ひとごとではありません。
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まだまだ汚い近所のどぶ河 |
経済発展に沸く中国ですから
「飲水思源」どころじゃないという気持ちは
わかるような気もするし、
一方で汚水処理施設を作るには大金が必要ですから、
経済が発展しないと作れないという現実もあります。
しかし、北京市は汚水処理率の向上、交通規制による交通量の減少、
ビニール袋の有料化など、
積極的に資金を投入して
経済発展と環境問題の舵取りをしているようです。
中国全土で北京市のように環境対策が進むことを期待しています。
化粧品事業のことにひるがえってみると、
私たちがつくる化粧品は
長白山の汚染のない水と
その水で育った薬草を使用させて頂いています。
それがどれだけ中国で貴重なことか、
しみじみと有難さを感じました。
地球上で利用可能な水のうち4分の1が中国で、
そのまた8分の1が北京で使われているそうです
(地球上の約3%)。
北京の人口は1700万人で世界人口のおよそ0.25パーセントですから、
非常に水資源に恵まれています。
豊かになってきた今だからこそ、
「飲水思源」ということばを大事にしたいものです。
<つづく>
絶世の活動情報 : www.zessei.com
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