トップページ > 成功の都「成都」からの便り > バックナンバー

   毎週月曜日更新

239.恋するパン屋さん成都に

お二人の名前は池本さんと言いました。

約束通り成都を訪れてくれました。
空港に迎えにいくと、少し疲れた顔でした。
聞くと、成都に来る前に今週分のオーダーを処理するため、
30時間連続でパンを焼いて来た、と言うことでした。
 
ずいぶん無理させちゃったな。
と感じると共に、意味のある時間にしなくちゃなと
心に緊張感が走る。
その日の夜は遅くついたので、次の日の朝からスタート。

成都の主要なパン屋さんを周り市場の概況を掴むと、
僕がいったいどうしたいのか?
ということをもう一度伝えた。

二日目は、うちの設備を使ったデモ。
実際に職人であるご主人がパンを焼いてくれることに。
設備を1つ1つ確認すると 「羨ましい設備です。」
と。うちの設備はいいらしい。

同時に、うちの唯一の職人にも、パンを作らせる。
彼の技術力をチェックしてもらう。

作業が1つ1つ進む。
焼きあがるたびにパンを試食する。
1日に食べたパンの量としては、
間違いなく新記録。でも美味しい。感動する。

そのうちフランスパンが焼きあがる。
焼きあがりのバゲットが奏でる雨音のような音が耳に届く。
それは、高熱から急に室内に移動した時に、
パンの表面が割れる時に出る音だということ。

最も感動したのは、ご主人のパンの扱いだった。
その日の夜パンをうまく作る一番大切なことはなんですか?
という質問にまっすぐな視線で「愛情です。」
と答えたのを裏付けるように
パンを愛おしく抱きながら運ぶ姿がそこにあった。

小さなバゲットを、赤ん坊のように抱き上げる姿は、
僕はきっとずっと忘れないだろう。

今、うちの職人がバンコクで修行させてもらっています。
いつから提供できるかわからないけど、
僕自身も次の展開を楽しみにしています。
どうぞ、成都にアジアで2番目に美味しいパンを
食べに来てください。(言い過ぎか・・・笑)


2011年10月31日(月)

<<前へ  次へ>>